歌川国芳の“歩く金魚”が教えてくれる、江戸の暮らし。|ニッポンのお宝、お蔵出し | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

歌川国芳の“歩く金魚”が教えてくれる、江戸の暮らし。|ニッポンのお宝、お蔵出し

季節に応じて床の間の軸を替えるように絵や彫刻を愛でる。今回は歌川国芳《金魚づくし》全9図が揃います。

歌川国芳《金魚づくし 玉や玉や》ベルギー王立美術歴史博物館。シャボン玉にみんな大喜び。オタマジャクシはまだ後ろ脚が生えていない。
《玉や玉や》はシャボン玉売りのかけ声。水の泡かシャボン玉かよくわからないが、ふわふわと昇っていくものに亀の子やオタマジャクシも夢中になっている。《さらいとんび》はなぜか空中を飛ぶ金魚が鳶のように食べ物をさらっていく。左には猿の像があるお食事処が。お品書きには《赤ぼふふり》(赤ボウフラ)と《みぢんこ》とある。
歌川国芳《金魚づくし さらいとんび》ベルギー王立美術歴史博物館。地上(?)で大騒ぎする金魚たちの声が聞こえてきそうだ。
フナの突然変異である金魚は中国で発見され、日本には室町時代に入ってきたとされている。当初は上流階級の人々の高級なペットだったが、江戸時代中期〜後期には庶民にも手が届くものになっていた。《金魚づくし》もそんな時代背景から生まれたもののようだ。
歌川国芳《きん魚づくし ぼんぼん》個人蔵。《ぼんぼんぼん》と歌い始めるのでこの名がついた。
《金魚づくし》のうち《ぼんぼん》は最近発見され、2011年に開かれた『没後150年 歌川国芳展』で初公開されたもの。浮世絵は2枚1組で制作することが多いので、10図目が存在する可能性が高まった。10図目はまだ発見されていないが、上方で出版された「金魚 けんじゆつ」という、金魚が水草の剣で戦う図がその写しではないか、とも言われている。当時、上方では江戸で出版された浮世絵を写したものが多く制作されていた。
歌川国芳《きんぎょ尽 まとい》ベルギー王立美術歴史博物館。威勢よく纏い(まとい)を振り上げる。
今回は現存する9図が揃う、世界でも初めての機会になる(前期:4月17日〜5月13日)。愛らしくも可笑しい金魚図をコンプリートする貴重な展覧会だ。
歌川国芳《金魚づくし すさのおのみこと》ベルギー王立美術歴史博物館。八岐大蛇(やまたのおろち)に見立てたウナギを退治する素戔嗚尊(すさのおのみこと)役の金魚。

特別展「江戸の戯画-鳥羽絵から北斎・国芳・暁斎まで」

〈大阪市立美術館〉

大阪府大阪市天王寺区茶臼山町1-82
(天王寺公園内)。4月17日〜6月10日(9図が揃うのは5月13日まで)。9時30分〜17時。月曜休(4月30日は開館)。TEL 06-4301-7285(大阪市総合コールセンター)。一般1400円。

青野尚子

あおの なおこ  ライター。アート、建築関係を中心に活動。共著に「新・美術空間散歩」(日東書院本社)。西山芳一写真集「Under Construction」(マガジンハウス)などの編集を担当。

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