大規模個展を開催中の写真家、石内都をデザイナーの山縣良和が直撃! | ページ 3 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

大規模個展を開催中の写真家、石内都をデザイナーの山縣良和が直撃!

横浜美術館で大規模な個展を開催中の石内都。石内作品にコレクションのヒントを得たというファッションブランド〈writtenafterwards〉デザイナーの山縣良和が、会場に石内を訪ねた。世代もジャンルも違う二人が、「服」をキーワードに初対談。

山縣 東京都庭園美術館で「アフターウォーズ」というテーマのファッションショーを行ったのですが、わからないというところからスタートしました。傲慢にはなりたくなかったので、自分の素直な経験から出てくるものでいこうと思って。千羽鶴のドレスを作り、その後を学生服姿の人々がぞろぞろ歩くという演出をしたのですが、これは僕たちの知っている風景なんです。広島や長崎に行くと、原爆慰霊碑のところに千羽鶴が手向けてあって学生たちが黙祷している。こういった風景が僕にとってのリアリティで、それをストレートに表現しました。
石内 オバマの花輪にインスパイアされた服というのが面白かったです。 
山縣 ありがとうございます。71年経ってやっとアメリカの大統領が来たということに心が揺さぶられました。改めて歴史の重みを感じて、手向けた花をそのまま服の一部にしようと思いつきました。僕のインスピレーションソースはいつも社会と繋がっているんです。
石内 それって必要というか基本だよね。社会性がないと表現にはならない。
山縣 昔、あるおばあさんが「布を切るのは皮膚を切るのと一緒だ」と言った言葉が僕の中で残っていて、石内さんの作品からもそれを感じることができます。作品の中の服からとんでもないパワーが溢れ出ていて、そこに(着ていた人の)"不在"を感じました。僕は、ファッションデザインという手法によって新しいものを作るので、"非在"なんですよね。非在が、これから誰かが着ることによって存在になって、また不在になるかもしれない。歴史を繋いでいかなければならないと思います。布や服など忘れかけているものを呼び起こすことも表現してゆきたい。
writtenafterwardsの2018年春夏コレクションのショーでは、千羽鶴をモチーフとしたドレスが登場。
2017年春夏コレクションでは、アメリカのオバマ前大統領の広島訪問を受け、慰霊碑に献花された「花輪」をモチーフにした服を発表した。

『石内都 肌理と写真』
〈横浜美術館〉〜3月4日。公式サイト

『装飾は流転する』
〈東京都庭園美術館〉〜2月25日。公式サイト

石内 都 1947年群馬県桐生市生まれ。神奈川県横須賀市で育つ。 1979年に《Apartment》で第4回木村伊兵衛写真賞を受賞。2005年、母親の遺品を撮影した《Mother’s》で第51回ヴェネチア・ビエンナーレ日本館代表に。 2007年より被爆者の遺品を写す《ひろしま》を発表し国内外で知られるように。2013年に紫綬褒章、2014年ハッセルブラッド国際写真賞を受賞。

山縣良和 1980年鳥取県生まれ。大阪の服飾専門学校を卒業後、2005年にイギリスの名門セントラル・セント マーティンズ美術大学ウィメンズウェア学科を首席で卒業。ジョン・ガリアーノのデザインアシスタントを務め、帰国後、2007年に自身のブランド〈writtenafterwards〉をスタート。ファッションの教育の場「ここのがっこう」主宰。

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