青野尚子の「今週末見るべきアート」|動くともっとよくわかる、ガブリエル・オロスコの世界。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS facebook-a facebook instagram line twitter youtube

青野尚子の「今週末見るべきアート」|動くともっとよくわかる、ガブリエル・オロスコの世界。

メキシコを代表するアーティスト、ガブリエル・オロスコ。彼の作品は「?」のあとに笑いがこぼれる、愛らしいアートだ。

《猫とスイカ》1992年 タイプCプリント
世界の大型美術館で個展を開いてきたオロスコだが、日本の美術館では初めての個展になる。準備のため来日した彼はオープン直前まで作品の位置を変えたりと綿密なチェックをしていた。
《ヌードル・フォール》2015年
会場には過去の作品だけでなく、開始直前に作ったスペシャルな作品も並ぶ。日本で見つけた素材で作ったその作品はなんと、カップ麺のパッケージだ。「ヌードル・フォール」、うどんの滝というタイトルがついている。「パッケージの写真にある、箸でつかんだうどんが滝のように見えたから」というのがその理由だ。彼の作品にはそんなユーモアがここかしこに漂う。
《亀》2013年 photo_Takeshi Shinto
こんなふうに、あまりに平凡すぎて見落としてしまうようなものが彼のアートの素材になる。四角い台の上に石庭のように並べられた石は、メキシコで売られている石に模様を描き、職人に彫刻してもらったもの。展覧会の最初を飾る、彼が初期からずっと撮り続けている写真作品の中には水に細長い球体がぷっくりと浮かんで見えるものが。「この中に僕の息子が入ってたんだ」と教えてくれる。妊娠中の奥様のお腹を撮った写真なのだ。ガラスの天板に真珠のような丸い球が置かれている写真は雲の合間から顔をのぞかせた月のようにも見える。日本画の見立てのようにも見えて、何だか楽しい気分になってくる。