ゴッホの油絵が動きだす!?  圧巻のアートサスペンス映画。 | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS facebook-a facebook instagram line twitter youtube

ゴッホの油絵が動きだす!?  圧巻のアートサスペンス映画。

多くの謎に包まれた天才画家、フィンセント・ファン・ゴッホ。11月、彼の死の真相に迫るサスペンス映画が公開となるが、驚くべきはその映像表現の手法。なんと、全編が動く油絵で構成されたアニメーション映画なのだ。

この気の遠くなるような作業に携わったのは、世界各国からオーディションで選ばれた125名の画家たち。1か月ほどのゴッホタッチ再現トレーニングを積み、この前代未聞のプロジェクトに取り組んだ。俳優たちの特徴を残しながら、オリジナルの絵画に描かれた人物の雰囲気が伝わるようにしたり、もともと昼間の絵として描かれていたものをストーリー上夜の絵に変更したりと、細かい調整が必要となる大変な作業だったという。日本からも、画家の古賀陽子が参加。3日間の採用試験、3週間のトレーニングを経て、ポーランドのスタジオで約3か月間制作を行った。ただ絵を似せるだけでなく、絵の具のかすれ具合まで再現しなければいけないことに苦労したそうだ。
オーディションで選ばれた画家たちのトレーニング風景。
ゴッホの絵を再現するべく、トレーニングを積む画家たち。
制作中の画家たちのアトリエ。
オーディションで選ばれた画家たちのトレーニング風景。
ゴッホの絵を再現するべく、トレーニングを積む画家たち。
制作中の画家たちのアトリエ。
日本から参加した画家の古賀陽子。
古賀陽子のアトリエの様子。
日本から参加した画家の古賀陽子。
古賀陽子のアトリエの様子。
「我々は自分たちの絵に語らせることしかできないのだ」というゴッホが最後の手紙に記した言葉を文字通り映像化し、ゴッホの絵によってゴッホ自身を語ることに挑戦したこの作品。映画内には、彼の94点もの絵画が登場し、さらに31点が部分的に引用されている。絵筆の跡が残る絵の具の1タッチ1タッチがざわざわと動きだす様子はまさに圧巻。絵の中に飲み込まれていくような不思議なトリップ感を体験でき、かつてゴッホが見ていた景色を追体験しているような気持ちにもさせてくれる。また、俳優の表情にも、油絵の質感によって、実写では表現できないような独特な深い情感が加わった。
ゴッホと親しかった医師の娘、マルグリット・ガシェを演じたのは、『グランド・ブダペスト・ホテル』や『ブルックリン』などで知られる女優、シアーシャ・ローナン。彼女の演技も油絵アニメーションに!
実写撮影段階のシアーシャ・ローナン。
現在、上野の〈東京都美術館〉では『ゴッホ展 巡りゆく日本の夢』が2018年1月8日まで開催されている。こちらは、日本美術がゴッホに与えた影響を紐解く展示だが、ゴッホと親しくしていたガシェ医師など、映画の登場人物に関連した作品も展示される。本作は、11月4日に新しくオープンする〈TOHOシネマズ上野〉でも上映されるので、展覧会とハシゴすると、ゴッホの絵が動き語りかけてくるというマジカルな感覚を、より強烈に味わうことができるに違いない。

『ゴッホ~最期の手紙~』

11月3日より〈TOHOシネマズ六本木ヒルズ〉ほかにて全国ロードショー。