ART
あるアート“ファン”の情熱を作品化した、ベルリン在住のアーティストユニット。
May 28, 2017 | Art | casabrutus.com | text_Keiko Kamijo editor_Keiko Kusano
知る人ぞ知るジェイ・チュン & キュウ・タケキ・マエダというベルリン在住のアーティストユニット。彼らはアートヒストリーの中の「物語」に着目し、作品を作り続けています。
東京・渋谷の〈statements〉で展覧会『Jay Chung & Q Takeki Maeda x Teruo Nishiyama 2017』が開催中だ。ジェイ・チュン & キュウ・タケキ・マエダは、2002年よりコラボレーションを開始したベルリン在住のアーティストユニットで、本展が日本初個展となる。東京では2016年に森美術館で開催された『六本木クロッシング2016:僕の身体、あなたの声』での作品が記憶に新しい。
タイトルは《無題》、小さな写真が部屋の中にぽつんぽつんと展示されていた。本展は、『六本木クロッシング』の作品と連続したものになっている。タイトルのTeruo Nishiyamaというのは、いちアートファンの西山輝夫さんである。チュンとマエダは、2016年に慶應義塾大学のアート・センターで、西山さんが1963年〜1965年の2年間に通った前衛芸術の展覧会の記録をまとめたスクラップブックを偶然見せてもらった。熱狂的な愛と情熱が溢れた2冊のスクラップブックは、他のどんな価値のある資料よりもチュンとマエダを惹きつけた。『六本木クロッシング』では、そこから数点写真を借り受けて展示。その時、すでに彼らの中ではスクラップブックの熱量をそのままの状態で作品にできないかというアイデアがあり、本展へとつながった。
タイトルは《無題》、小さな写真が部屋の中にぽつんぽつんと展示されていた。本展は、『六本木クロッシング』の作品と連続したものになっている。タイトルのTeruo Nishiyamaというのは、いちアートファンの西山輝夫さんである。チュンとマエダは、2016年に慶應義塾大学のアート・センターで、西山さんが1963年〜1965年の2年間に通った前衛芸術の展覧会の記録をまとめたスクラップブックを偶然見せてもらった。熱狂的な愛と情熱が溢れた2冊のスクラップブックは、他のどんな価値のある資料よりもチュンとマエダを惹きつけた。『六本木クロッシング』では、そこから数点写真を借り受けて展示。その時、すでに彼らの中ではスクラップブックの熱量をそのままの状態で作品にできないかというアイデアがあり、本展へとつながった。
本展では、3冊のアーティストブックが作品として展示されている。1冊は西山さんのスクラップブックを複写したもの、もう1冊はチュンとマエダが西山さんの手法を模倣し展覧会巡りをした記録、そしてもう1冊はチュンとマエダが行った西山さんへのインタビューとスクラップブックの英訳版だ。
西山さんのスクラップブックを複写した1冊は、1965年〜1966年に行った展覧会がまとめられたものだ。ページは1965年3月24日に〈椿近代画廊〉で開催された『Big Fight』展から始まる。各作品の写真には、手書きのキャプションで清水晃「ポスト」、篠原有司男「twilight time」等、アーティスト名に「作品名」が書かれている。中には、「刀根康尚 机の上の花はクルクルまわっている。ハンカチをかぶせたスピーカーより奇妙な音楽が流れる。」といったように、作品の解説めいたことが書かれているものもあるが、基本的に感想や批評のようなテキストは一切書かれていない。
美術だけではなく、映画や演劇にも熱心に通っている。パラパラとめくっただけでも、圧倒的な情報量だ。『Fluxus Week』と書かれたページは、1965年9月6日〜14日に〈画廊クリスタル〉で開催された、日本で初めてフルクサスが紹介された展覧会を記録している。西山さんは毎日通ったのだろう。初日の塩見允枝子の日に始まり、日々会場で起きたことを写真とキャプションで克明に記している。
西山さんのスクラップブックを複写した1冊は、1965年〜1966年に行った展覧会がまとめられたものだ。ページは1965年3月24日に〈椿近代画廊〉で開催された『Big Fight』展から始まる。各作品の写真には、手書きのキャプションで清水晃「ポスト」、篠原有司男「twilight time」等、アーティスト名に「作品名」が書かれている。中には、「刀根康尚 机の上の花はクルクルまわっている。ハンカチをかぶせたスピーカーより奇妙な音楽が流れる。」といったように、作品の解説めいたことが書かれているものもあるが、基本的に感想や批評のようなテキストは一切書かれていない。
美術だけではなく、映画や演劇にも熱心に通っている。パラパラとめくっただけでも、圧倒的な情報量だ。『Fluxus Week』と書かれたページは、1965年9月6日〜14日に〈画廊クリスタル〉で開催された、日本で初めてフルクサスが紹介された展覧会を記録している。西山さんは毎日通ったのだろう。初日の塩見允枝子の日に始まり、日々会場で起きたことを写真とキャプションで克明に記している。
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