『あいちトリエンナーレ2016』も大好評! 大巻伸嗣の最前線。 | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

『あいちトリエンナーレ2016』も大好評! 大巻伸嗣の最前線。

芸術祭などで行列ができるほど人気の大巻伸嗣。開催中の『あいちトリエンナーレ2016』での作品も好評です。彼が今、東京・代官山のアートフロントギャラリーで開いている個展のタイトルは『Liminal』。合わせて初の作品集『大巻伸嗣』(現代企画室)を出版し、ギャラリーで自作について語りました。彼の作品が引き起こす不思議な感覚の秘密をちょっとだけお見せします!

個展のタイトルの「liminal」は大巻が手がける一連のシリーズ《Liminal Air》にも使われている言葉だ。《Liminal Air》の一つ、空中に薄い布がひらひらと舞う作品では、その幻想的な光景をはっきりと記憶にとどめることができなくてもイメージは深く心に残る。

「この作品はもちろん現実であって、物質性もあるわけですが、『現実である』ということが『現実でない』ということにもなりうる。私たちはこれをフィジカルに皮膚で感じることができますが、それよりも視覚で感じるところが大きい。その視覚のブレやあいまいさによって、僕が彫刻や物質を触りながら生きてきたということを裏切っていく。それは非物質的な生産行為だと認識していますが、その認識すらも壊されていくことが面白い」
《重力と恩寵》(2016年)。「あいちトリエンナーレ」穂の国とよはし芸術劇場PLATでの展示。透かし彫りが施されたオブジェの中を、強烈な光源が上下する。 photo_Ito Tetsuo 2016 Aichi Triennale Organizing Committee
「liminal」とは「閾(いき)の」という意味の語だ。光や音を感知できるかどうかの境目にある状態を指す。大巻は「域」という日本語をあてている。

「外国に行くと国境線を始めとして、いろいろなものが線で区切られているのを感じます。ところが日本では『三途の川』のように、生と死の間に線ではなく奥行きがある。外国とは違う宗教観、死生観があるように思います。だから僕はあえて、『境界』ではなく『域』という言葉を使っています。彫刻やものを作っていくときも、普通なら物質の中を中心に考えると思いますが、僕は『Liminal Air』を作ったときに物質や身体の外を先に考えて、それから外に対する内側を考えました。逆の発想で空間や境界を考えていくのはどうだろう、というところから始めたんです」

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