青野尚子の「今週末見るべきアート」|杉本博司が考える人類の終末 | ページ 3 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

青野尚子の「今週末見るべきアート」|杉本博司が考える人類の終末

約2年間の改修を終えてぴかぴかになった東京都写真美術館。リニューアル・オープンおめでとう! という気分で中に入ると、そこには思いがけない廃墟が広がる。美術館の総合開館20周年記念でもある杉本博司の個展は「文明の終焉」がテーマだ。彼が考える人類の終末とは何か、杉本に聞いた。

建築家が語る、という設定の終末は同じく建築家の磯崎新の肉筆で表現される。製図に使う独特の書体で書かれている。
杉本による33の終焉の物語はそれぞれ、杉本が選んだ人物の肉筆で代筆されている。建築家が語る終末は同じく建築家の磯崎新が代筆した。製図に使う青インクと書体で書かれている。

「文明が滅びる、最後の断末魔の時なのだから電気やコンピュータは使えない。肉筆で最後のメッセージを残した、という設定です」(杉本)。
〈今日 世界は死んだ もしかすると昨日かもしれない〉の「理想主義者」のコーナー。「Jap Hunting License」は昭和20年3月下旬、硫黄島での日本軍の組織的な戦闘が終わった後、米軍が発行した「日本兵残兵狩り許可証」。有効期限はない。ということは今も有効?
会場には昭和18年、学徒出陣に際し、学生総代となった森一郎が書いた宣誓文の原稿も展示されている。もちろんこれも肉筆だ。森はその後、戦艦大和と運命を共にしたらしいこともわかってきた。人の手によって書かれる文章のすごみが伝わってくる。