瀬戸内国際芸術祭2016「夏会期」新作レポート! | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

瀬戸内国際芸術祭2016「夏会期」新作レポート!

瀬戸内の夏をアートで楽しむ『瀬戸内国際芸術祭 2016』がいよいよ開幕しました。そこで、夏会期の新作の中で注目を紹介します!

小豆島の海岸に作られたリン・シュンロン《国境を越えて・潮》。
小豆島の海岸に現れた、砂でできた子供たちは台湾のリン・シュンロン(林舜龍)の《国境を越えて・潮》という作品だ。像は全部で196体ある。シリア難民の子供がトルコの海岸に遺体となって打ち上げられた悲しいニュースが、この作品のもとになっている。

「私にも同じ年の男の子がいるからショックだった。みんな同じ美しい生命なのに、戦争の犠牲になってしまう子供たちがいる」

子供の像は波や雨、鳥につつかれたりしてだんだんと崩れていく。像は約3か月で崩れていく予定だそう。でも台風が来て一晩で全部崩れてしまってもいいのだ、とリンは言う。砂の部分がなくなると中から、像を支えている鉄の棒と白いバラが現れる。鉄の棒には196カ国の国の名前が書かれている。

「全部崩れると、それぞれの国のお墓ができるんです。消えてしまった子供たちは海というお母さんの子宮に戻って、愛を世界に広げる」
子供たちの像の胸にはそれぞれの国の首都までの距離が、背中には緯度・経度が書かれている。頭を鳥につつかれてしまったのか、中の白いバラが出てきた。
196体の子供の像は日本政府が公認している国の数を現している。でも、国によって公認している国の数は違う。

「言葉が通じなくても子供たちは一緒に遊ぶ。大人はもともと子供だったのに、なぜ変わってしまって壁を作ってしまうのか。私は8年間フランスに住んでいて、ドイツとフランスの国境近くに住んでいる友だちがいた。彼の村はあるときはフランス、あるときはドイツだった。そんなのめんどくさいでしょ(笑)」

台湾で生まれ、日本とフランスで学んだ彼の言葉には説得力がある。
《国境を越えて・潮》小豆島・大部。屋外展示作品。夏・秋会期公開。無休。