青野尚子の「今週末見るべきアート」|大空間に広がるライアン・マッギンレーのインスタレーションは必見です! | ページ 3 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

青野尚子の「今週末見るべきアート」|大空間に広がるライアン・マッギンレーのインスタレーションは必見です!

明るくてポップな色彩がそこらじゅうを飛びかう展覧会。ライアン・マッギンレーの写真にはポジティブな光と色があふれています。日本の美術館では初めての個展では大型のインスタレーションが話題に。オープニングではサイン会などでもみくちゃになりそうだったライアンに聞きました。

動物と一緒にヌードを撮影したシリーズ《Animals》。動物は、次に何をするかわからないところがいいのだそう。
展覧会タイトルに音楽と関係する言葉を選んだように、彼の写真は音楽とは切り離せない。

「撮影するときはいつも音楽をかけている。音楽がいい雰囲気を作ってくれるんだ。ヌードでポーズをとるモデルに気持ちよくなってもらいたいからね。静かだと気まずいこともあるし。モデルにはじけて欲しいときはアップテンポな曲、まったりしたいときはソフトな曲というふうに使い分けている。踊って欲しいときはビヨンセとかリアーナとか。友だちの振付師に来てもらってポーズの参考にすることもある。プロの振付師ではないんだけど、僕には考えつかないような面白いポーズが生まれたりするんだ」
音楽フェスの観客を撮ったポートレイト《You and My Friends 1》。特別にハッピーな、夢のような時間。
何かに陶酔したような表情のアップが並ぶインスタレーション《Grids》は、アメリカやヨーロッパ各地のミュージックフェスで撮ったもの。

「ステージを見ている観客を撮影している。催眠にかけられたみたいに音楽にすっかり入り込んでいて、独特のエネルギーを発散している。ステージを照らすいろんな色のライトが顔に反射して、さまざまな色調になっている。コンサートに行くのはある意味でスピリチュアルな体験であって、教会に行くのにも似ている。彼らはステージのミュージシャンしか見ていなくて、僕のことはまったく気にしてないのも面白い」
初期の作品を中心にした展示室。すべて©Ryan McGinley Courtesy Team Gallery, New York / Tomio koyama Gallery, Tokyo
サブカル的、即興的に撮っているように見えて古典からの美術史を参照し、光やモデルの動きを周到に計算しているライアン・マッギンレー。大空間をきっちりと構成しているのも、そんな蓄積があってこそだ。音楽や身体のエネルギーがみなぎるインスタレーションをお見逃しなく。

ライアン・マッギンレー

1977年、アメリカ・ニュージャージー州生まれ。自費出版の作品集『キッズ・アー・オールライト』で注目を集め、2003年、史上最年少でホイットニー美術館での個展を開催する。作品集に『You and I』『Ryan McGinley: Whistle for the Wind』『Way Far』など。2012年、小山登美夫ギャラリーで個展を開催した。

ライアン・マッギンレー BODY LOUD!

〈東京オペラシティ アートギャラリー〉

東京都新宿区西新宿 3-20-2
TEL 03 5777 8600。〜7月10日。月曜休。11時〜19時(金曜・
土曜〜20時)。1,200円。公式サイト

青野尚子

あおのなおこ  ライター。アート、建築関係を中心に活動。共著に「新・美術空間散歩」(日東書院本社)。西山芳一写真集「Under Construction」(マガジンハウス)などの編集を担当。