青野尚子の「今週末見るべきアート」|大空間に広がるライアン・マッギンレーのインスタレーションは必見です! | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

青野尚子の「今週末見るべきアート」|大空間に広がるライアン・マッギンレーのインスタレーションは必見です!

明るくてポップな色彩がそこらじゅうを飛びかう展覧会。ライアン・マッギンレーの写真にはポジティブな光と色があふれています。日本の美術館では初めての個展では大型のインスタレーションが話題に。オープニングではサイン会などでもみくちゃになりそうだったライアンに聞きました。

冬にロード・トリップをして撮影した《Winter》のシリーズ。ロケ地はニューヨークから車で数時間ほどのところだそう。
この壁の前には大自然の雪や氷の中で撮ったヌードが並ぶ。見ているだけでも寒そうだ。

「サウナみたいに暖かくしたテントを張ってモデルはそこで待っていてもらう。僕たちがアングルを決めてから『そこに向かって走って!』って言って一瞬で撮るんだ」

ライアンは夏にモデルやアシスタントと一緒に車で旅をして撮る「ロード・トリップ」というシリーズを制作していた。今回の“寒そうな”シリーズはその冬バージョンになる。

「なんで冬にしたかって? そんな写真を僕は見たことがなかったから。誰もやっていないことをするのは楽しい。完全にオリジナルな写真なんだ」
スタジオ撮影したモノクロのポートレイトのシリーズ。色味がなくてもエネルギーは伝わってくる。
ビビッドな色がシグネチャーのようになっているライアン・マッギンレーだが、別の展示室にはスタジオで撮影したモノクロのポートレイトが並ぶ。このシリーズを撮り始めたのは2010年だそう。なぜモノクロ写真を撮ることにしたのだろう?

「前からスタジオでのヌード写真を撮りたいとは思っていたけれど、ピーター・ヒュージャーやリチャード・アヴェドンたちが優れた作品を撮っている。僕はもちろん彼らを尊敬しているから、なかなか手が出せなかった。だいぶ経ってから恐る恐るスタジオで撮影を始めて、“自分の声が出せる”と感じることができたから、本格的に取り組むことにしたんだ。壁のインスタレーションはそのカラー版だ」
夏に撮影した「ロード・トリップ」のシリーズなどが並ぶ一角。
スタジオでの撮影と「ロード・トリップ」のような屋外での撮影では当然違いがある。

「いつも外で撮りたい、というわけじゃないしね。外で撮っていると自然や景色はコントロールできないし、モデルもスタジオのほうがコントロールしやすい。そのバランスが大事なんだと思うし、コントロールできるもの、できないもの、両方やるのが面白い。写真家というものは常にコントロールしたがる生き物だ。モデルにあれやって、これやって、ジャンプして、そこを走って、という具合にいつも命令してる。でも一たびカメラを置くと、実生活では何もコントロールできなくなる。モデルたちは家族や友人と過ごすために帰ってしまって、僕だけ取り残されてしまうんだ(笑)」