青野尚子の「今週末見るべきアート」|山口晃が語る、馬の描き方。 | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

青野尚子の「今週末見るべきアート」|山口晃が語る、馬の描き方。

横浜にある、日本でもっとも古い競馬場「根岸競馬場」。その跡地を整備してつくられた根岸森林公園内にある〈馬の博物館〉が設立40周年を迎える。それを記念して“馬の作家”、山口晃の個展が開催中だ。展覧会では館所蔵の馬にまつわる古美術と山口の作品が一緒に展示されている。GW特別編、山口晃独占インタビュー。

『馬鑑展』会場内には、《南蛮胴鎧》を着用し馬に乗った武将も登場。
Q 今回は山口さんの作品の他に室町時代など、日本の昔の馬の絵も並んでいます。日本と西洋とでは馬に違いがありますか。

A 馬面の長さが国産の方が短い気がします。足の毛も違うそうですね。やはり馬格が違うのですが、軍馬にするため、ずいぶん外国馬の血も入れたようです。それでも絵にすると、洋の東西を問わず、お尻からかかとの筋肉の盛り上がりを強調していて、人が馬を見るときの共通する眼差しを感じます。
《厩図屏風》(左)と描きかけの絵。撮影は開幕時の様子。
Q 山口さんの作品と一緒に並ぶ日本の古美術で、お薦めのものを教えてください。

A いつもながら今回も描きかけの絵を展示しているのですが、恥ずかしながら白い部分が未だ多めの新作の隣にある《厩図屏風》がすごい。金色の雲の中にさらに胡粉で雲が盛り上げてあったり、縁が点字ブロックみたいになっていたりする。そこまで手間をかけられると、こちらの手抜きが際立ってしょうがない。もう一つ、江戸後期の合戦図《陣形図屏風》も面白いですね。平和な時代が長く続いた後ですから描いた人は戦を見ていない。一人描いたのを“型紙”にして人数を増やしている。仕えている殿様の偉業を記録しておかなくては、ということで生々しさよりも納期に間に合わせることを優先している。同じ職業画家として同情してしまいます。
開幕直前の馬の博物館で、新作に取り組む山口晃。
Q 描きかけの絵はカンバスを2枚組み合わせたものですが、これからどうなるのですか。

A カンバスの外に描いたりはしませんが、描いてないところどうしがつながって、見えていない絵の形が浮かぶようなことを考えています。三幅対の掛け軸で絵柄がつながっているものがありますが、あんなふうに軸と軸の間が生きてくる、あの感じにしたいなあ、と思っています。