青森の土から立ち上る、棟方志功の全貌。|行くぜ、東北。 | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

青森の土から立ち上る、棟方志功の全貌。|行くぜ、東北。

「わだばゴッホになる」。棟方志功はゴッホの絵を見て油彩画を始めた。のちに版画を手がけるようになり、文学や民藝、故郷青森の風物など幅広いものからインスピレーションを得た作品を制作する。彼の持つたくさんの顔を見に、〈青森県立美術館〉へ行こう。

河井寛次郎《白釉草花紋碗》陶器 径12.0×高10.0 棟方志功記念館蔵
展覧会は「白樺」とその周辺の洋画家たちの作品から始まる。柳宗悦の書や河井寛次郎、濱田庄司らの茶碗は棟方が愛蔵していたものだ。国際版画大賞を受賞し、「世界のムナカタ」として知られるきっかけになった1956年のヴェネチア・ビエンナーレの再現展示では、同じビエンナーレに出品された須田国太郎や脇田和らの作品も展示、当時のアートシーンでの棟方の位置づけを振り返る。

また棟方作品と文学との関わりにも光をあてる。文学に強い関心を抱いていた棟方は若いころから本の装幀や挿絵を手がけてきた。会場には吉井勇や谷崎潤一郎の作品を題材にした板画作品や、『鍵』の挿絵などをめぐって谷崎潤一郎とやりとりした書簡が並ぶ。とくに『鍵』をきっかけに制作された大首の女性像は必見だ。なまめかしさと仏性とを併せ持つ棟方独自の美女には聖と俗、相反する要素がにじみ出る。
棟方志功《青森凧絵》1971年 彩色・紙 各60.0×43.2㎝ 棟方志功記念館蔵
棟方は「世界のムナカタ」として評価されるようになった晩年、故郷への思いを強くしていく。そこから生まれたのが恐山や津軽三味線などを題材にした作品だ。画家としての棟方の原点はネブタと凧絵だと言われている。子供のころ、棟方は凧絵の名人から手ほどきを受けたとも言う。厳しい津軽の自然と、そこで懸命に生きる人々への思いは「東北風(やませ)の柵」といった作品となって結実した。また棟方が命名した「風韻堂コレクション」の縄文土器や土偶も展示。縄文やアニミズムといった東北の精神風土と棟方作品との関連を探る。

青木淳が設計した〈青森県立美術館〉は土の床や壁がある、異色の美術館だ。土に染みこんだ数万年の時間が棟方の森羅万象を浮き上がらせる。見たことのないムナカタの姿が現れる。
棟方志功(撮影:原田忠茂)
オドロイテモ、おどろききれない 森羅万象:棟方志功とその時代

〈青森県立美術館〉
青森市安田字近野185
TEL 017 783 3000。4月16日〜6月5日。9時30分〜17時(6月1日以降9時〜18時)。4月25日・5月9日・5月23日休。1,300円。公式サイト

アクセス

東京から東北新幹線でJR新青森駅まで約3時間10分〜30分。ルートバスねぶたん号で県立美術館前まで約10分。びゅう公式サイト:東北の宿と列車のきっぷを探そう!
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