青野尚子の「今週末見るべきアート」|妖怪が跋扈する日本の奇妙な風景。 | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

青野尚子の「今週末見るべきアート」|妖怪が跋扈する日本の奇妙な風景。

日本で撮ったもののはずなのに、日本じゃないみたい。フランスの写真家、シャルル・フレジェが撮った日本の祭りの衣装は不思議な色と形とエネルギーに満ちている。銀座メゾンエルメス フォーラムでの個展のために来日した彼に聞いた。

左/「与論十五夜踊りの踊り子」鹿児島県与論島  右/「朝比奈」鹿児島県与論島
シリーズ名の「妖怪」は、ここでは象徴的な意味合いで使われている。このシリーズには幽霊や怪獣など、妖怪ではないものも含まれているのだ。

「ファンタジーをもたらすもの、ある種の詩情を現すものとして、妖怪という言葉を使ったんだ」

フレジェが初めて日本に来たのは15年前のこと。その後、彼は何度も来日し、相撲の力士や成人式に出席する女性たちの写真を撮ってきた。

「これらのプロジェクトは共同体、ともに暮らすことについての興味から発生したものだ。力士は共同生活をしていて、神道に基づいた暮らしや鍛錬をしている。成人式は若者が子供を産み育てることができるようになって、一人前の大人として共同体に迎え入れられることを祝う儀式だ。『YÔKAÏNOSHIMA』でも、コスチュームをまとうことで共同体の一員として認められるという側面がある」
もう一つの展示室は雪景色のイメージ。壁も床も真っ白な空間に 「YÔKAÏNOSHIMA」と「WILDER MANN」が並ぶ。
「WILDER MANN」はフランスのほか、オーストリア、スイス、ドイツなどで撮影している。謝肉祭などのときに現れる、動物の格好をした人々だ。

「山羊や鹿などさまざまな動物がモチーフになっているけれど、どの地域でも共通して見られるのが熊なんだ。パワーや幸運、多産の象徴としてバスク地方はもちろん、フランス、イタリア、スロベニア、ルーマニア、ギリシャ、いろいろな地域で熊の扮装が見られる。今はライオンがヨーロッパの王とされているけれど、その前は熊がその地位を占めていた。スイスのベルンなどは熊(ベア)がその語源になっている」