ラジオ片手に温泉地を歩く。“見えないアート”体験とは? | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

ラジオ片手に温泉地を歩く。“見えないアート”体験とは?

ひとりの作家による個展形式で開かれる芸術祭「in BEPPU」。今年は梅田哲也が“見えないアート”をつくりました。場の見え方が変わってくるアートについて、作家本人に話を聞きました。

〈別府ブルーバード会館〉。ここで森山未來、満島ひかりが出演した映像作品が上映されている。
会場のひとつに、古い映画館〈別府ブルーバード会館〉がある。昭和24年創業の老舗の映画館だ。ここでは梅田が制作した映像作品が上映されている。登場人物が別府市内をさまよう、謎めいた作品だ。その姿は地図とヘッドホンを手に市内を移動する観客の姿に重なる。戦争を思わせるシーンもあって、空間だけでなく時間も行き来しているかのようだ。
〈鶴見園〉エリアで普段は人が通らないようなけもの道を通っていくと、大きな石に出くわす。そのほとんどが人為的なものではなく、噴火や土砂災害などによって自然にその場所に運ばれてきたものだという。
作品の制作にあたって別府の街をリサーチした梅田は、温泉にまつわる歴史と現在の状況に惹かれた。

「会場のひとつ、〈いちのいで会館〉があるところはかつて鉱山だったのですが、温泉が出て掘削ができなくなったという由来があります。また、自宅に温泉をひく家庭は多いですけど、そうするとパイプを掃除したり交換したり、定期的に手入れをしないと維持できなくなる。生活の中にワイルドな自然が入り込んできて、せめぎあって共存している状況が面白いと感じます」
けもの道の一部。足元のパイプには源泉が通っていて、触ると火傷しそうに熱い。
梅田の作品自体もさまざまに解釈できる、両義性を含んでいる。

「温泉は効能があるとされる一方で建物を傷めたり、農作物が育たない代わりに観光の目玉になっ たりと、温泉の存在そのものが両義的です」

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