ピカソも、リヒターも! 激動の20世紀が生んだアートの名作が一堂に。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

ピカソも、リヒターも! 激動の20世紀が生んだアートの名作が一堂に。

3つの公立美術館が企画したコレクション展『トライアローグ』が、最初の会場である〈横浜美術館〉にて開催中。3館の西洋美術コレクションから70作家・118作品(横浜美術館での展示数)を厳選し、激動の20世紀における西洋美術の足跡を辿ります。

●ピカソ、リヒター、ウォーホル、ボルタンスキー! 公立美術館の充実したコレクション。

〈横浜美術館〉、〈愛知県美術館〉、〈富山県美術館〉の3館から4作品が集まったピカソ。写真の他に、青の時代や1920年代初頭の新古典主義に影響を受けた作品も並ぶ。左から、パブロ・ピカソ《座る女》1960年、富山県美術館蔵、パブロ・ピカソ《肘かけ椅子で眠る女》1927年、横浜美術館蔵。
開催中の『トライアローグ』展でまず驚くのは、展示作品の幅広さと質の高さだ。会場に入ってすぐに出迎えてくれるのは、ずらりと並んだピカソの絵画4点。歩みを進めれば、マティス、ムンク、カンディンスキー、クレー……と、次々に人気作家の絵画が登場する。

〈富山県美術館〉、〈横浜美術館〉、〈愛知県美術館〉の3館はいずれも1980年代~90年代初頭に開館。日本のバブル期の追い風を受けながら、MoMAを参考に同時代の西洋美術もコレクションの柱のひとつとして確立していく。だが、同じ方向性のコレクションを有する美術館が、タッグを組んで展覧会を開くのは珍しいこと。日本の公立美術館にこれほどの名作があったのかと、改めて驚かされるラインナップだ。

展覧会タイトルの『トライアローグ』とは三者会談、鼎談の意。3館の学芸員が2年近く話し合いを重ね、「3」をキーワードにした実験的な試みが考えられた。例えば、会場は「3つ」のセクションで構成。通常、20世紀を俯瞰するときは2つの大戦を境目にすることが多いが、今回はあえて「30年」という単位で区切ることにした。これにより、大戦の前後で起きたアートシーンの変化が、流れとして捉えやすくなっている。

20世紀は激動の時代だ。芸術家たちはその時々に、何を考え、どう表現したのか。さっそく、第1章「1900s――アートの地殻変動」から見てみることにしよう。

●同時多発的に生まれる「イズム(主義)」と飛躍的な技術発展。

ル・コルビュジエが設計した建築の壁画を担当したことでもよく知られるレジェの、ほぼ同時期の作品を比較できる3点。左から、フェルナン・レジェ《緑の背景のコンポジション(葉のあるコンポジション)》1931年、愛知県美術館蔵、フェルナン・レジェ《コンポジション》1931年、横浜美術館蔵、フェルナン・レジェ《インク壺のあるコンポジション》1938年、富山県美術館蔵。
1900年代から1930年代にかけて、西洋のアートシーンではさまざまな“主義”が誕生した。フォーヴィスム、キュビスム、ダダ、バウハウス、シュルレアリスム……。これらはすべてこの頃に生まれたものだ。背景にあるのは科学技術の飛躍的な発展と、それに夢見た人間がやがて突き進んでいく第一次世界大戦だ。

会場の冒頭で展示されているピカソの4点には、こうした様々な影響が感じられる。〈愛知県美術館〉が収蔵する「青の時代」の《青い肩かけの女》に始まり、〈富山県美術館〉の新古典主義を思わせる《肘かけ椅子の女》、シュルレアリスムの影響が見える〈横浜美術館〉の《肘かけ椅子で眠る女》、キュビスム時代に遡った〈富山県美術館〉のもう一点のピカソ《座る女》と、めまぐるしく変わる作風を比較しながら楽しむことができる。

このように3館すべてがコレクションを持ち、複数点を並べることで理解を深められる作家については、「Artist in Focus」というコーナーが設けられ詳しい解説が付記されている。
パウル・クレー《蛾の踊り》1923年、愛知県美術館蔵。クレーが独自に生み出した技法「油彩転写」によるもの。晩年の油彩など、計4点が展示されている。
エドヴァルド・ムンク《イプセン『幽霊』からの一場面》1906年、愛知県美術館蔵。
ワシリー・カンディンスキー《網の中の赤》1927年、横浜美術館蔵。カンディンスキーは第一次世界大戦中にドイツからロシアに一時帰国。その後、再びドイツに戻り、バウハウスで教鞭をとる。一人ひとりの作家の人生にも激動の20世紀が浮かぶ。
ガブリエーレ・ミュンター《抽象的コンポジション》1917年、横浜美術館蔵。カンディンスキーのパートナーとして語られることが多いが、その色彩豊かな表現に改めて注目が集まっている。同展では20世紀に活動した女性芸術家にも意識的に光をあてている。
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