レアンドロ・エルリッヒ作品がある、小さな美術館がオープン! | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

レアンドロ・エルリッヒ作品がある、小さな美術館がオープン!

〈金沢21世紀美術館〉から徒歩3分のところに新しい美術館がオープンしました。金沢の街を歩くのがもっと楽しくなる美術館です。

3階:桑田卓郎作品の展示風景。桑田の茶碗にはわびさびや破調、不完全なものに美を見出す日本の美意識が潜む。
3階にはセラミック・アーティストの桑田卓郎の作品が並ぶ。桑田は焼成した時にできる釉薬のひび割れ「梅花皮(かいらぎ)」や土の中の小石が表面に飛び出る「石爆(いしはぜ)」といった手法を大胆に使い、色鮮やかな顔料とともに前衛的なフォルムを生み出している。

今回はこの美術館のオープニングのために6点の新作を制作、旧作とともにインスタレーションした。
3階の桑田卓郎作品《Untitled》(左右両方とも)。まだ使い途が決まっていなかったスペースを見た桑田が「これを」と言って持参したもの。大きい方は重さが200kgぐらいあり、搬入はひと苦労だった。
〈KAMU kanazawa〉では2、3階の展示室でステファニー・クエールと桑田卓郎、それぞれ1人の作家をとりあげて1年おきに作品を入れ替えることにしている。年月を追って、作家の思考や作風の軌跡を追うことができるのだ。1階のレアンドロ・エルリッヒの作品は恒久設置されるので、〈金沢21世紀美術館〉の《スイミング・プール》と合わせて、いつでも彼の世界を楽しむことができる。
ステファニー・クエールの作品。草を手に座るサルはどこか哲学的な表情だ。
2階のステファニー・クエールは展示エリア以外の場所の、思いがけないところに作品を設置している。どこにあるのか、館内を探すのも楽しい。作家自身もこの空間にあわせて作品や設置場所を考えている。同時代の作家たちとともに活動しているからこそできる、ユニークな試みだ。
桑田卓郎《青化粧金彩梅華皮志野垸》。桑田は多治見で陶芸を学び、現在は岐阜県土岐市に窯を構える。「ロエベ ファンデーション クラフト プライズ2018」で特別賞を受賞、同ブランドとのコラボ作品も発表。内外から注目を集めている。
この美術館では主に林田のアート・コレクションを展示している。〈金沢21世紀美術館〉や、〈東京都現代美術館〉で開かれた『カルティエ現代美術財団コレクション展』(2006年)などでスケールの大きなアートに惹かれるようになった林田は、『アートも買えるんだ』ということに気づいてコレクションを始めた。「人間関係や政治、景気、マーケットなどの状況で値段が変動するのも、アートが自分たちの生活と繋がっている事を実感できて面白いと感じました」と林田は言う。

コレクションは徐々に増えて倉庫を借りるまでになる。しかし、作品をただ倉庫にしまっておくだけではもったいない。一方、社会人になってからも毎年、金沢を訪れていた彼は、金沢の街も“もったいない”ことになっていると思っていた。

「金沢には大勢の観光客がやってきますが、バスで観光スポットだけ回っていく人が多いんです。でも、金沢は路地に魅力的なお店がたくさんあって用水路に蛍が舞う、歩くと楽しい街。〈KAMU kanazawa〉は金沢をもっと歩き回って楽しんでもらうための美術館でもあるんです」
館長の林田堅太郎は1987年生まれ。製品開発やITコンサルティングなどを手がけている。現在は金沢を拠点に、東京と行き来しながら活動している。
林田は金沢の街中に10カ所ぐらい、こういったミュージアムを開設することを考えている。複数の美術館を訪れることで、自然と街を回遊できる仕掛けとなる。今年の秋には新築の建物で2館目となるミュージアムを開館する予定。美術館の数が増えたら、2日券を発行するといった構想もある。

〈KAMU kanazawa〉設立のため、林田はクラウド・ファンディングを実施、目標30万円に対して400万円以上の支援を集めた。この支援者の中にはリターンである桑田卓郎作品などに惹かれた人もいるだろうが、林田のアイデアに共鳴した人も多かったと思われる。小規模なスペースを点在させることで街の楽しみ方を増やす、新しいタイプのミュージアムには多くの人の期待も込められている。

〈KAMU kanazawa〉

石川県金沢市広坂1-1-52。11時~18時(金・土曜は20時まで)。月曜休。800円。

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