古典と現代をマッシュアップ! アートのタイムトラベルへ|青野尚子の今週末見るべきアート | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

古典と現代をマッシュアップ! アートのタイムトラベルへ|青野尚子の今週末見るべきアート

「新旧の日本の美術が出合ったら?」を実験した『古典×現代2020ー時空を超える日本のアート』展。時代やジャンルを超えた組み合わせが意外な発見をさせてくれます。

●花鳥画×川内倫子

「花鳥画×川内倫子」展示風景。彼女の目がとらえた独特の光に満ちた写真が並ぶ。(左)インスタレーション《AILA》(2004年より2020年、作家蔵)(右)《AILA》(2004年、作家蔵)。
宋・元代の中国で盛んに描かれた花鳥画。日本でも狩野派の絵師たちや伊藤若冲ら奇想の絵師たちがたくさんの花鳥画を残している。四季折々の花や鳥、虫たちを組み合わせた画面には生きとし生けるものへの共感や慈しみがにじみ出る。川内倫子の写真も生まれくるもの、立ち現れてくるもの、いつかは消えていくものへの視線から切り取られた光景をとらえている。青空を背景にした花、小さな葉の先、殻を破ろうとするひな鳥、乱舞する虫たち、それらのものを愛おしく思う私たちもいつか消滅してしまうけれど、たくさんの命が生きようと動き続けたその瞬間は確かに存在する。花鳥画や川内の写真を見る私たちもそのような自然のサイクルの一部であることを教えてくれるのだ。
伊藤若冲《紫陽花白鶏図》江戸時代・18世紀、個人蔵。若冲は庭に鶏を飼って日々観察していた。  ※この作品は7月6日までの展示。

●円空×棚田康司

「円空×棚田康司」展示風景。壁の、眼鏡をかけた顔の彫刻は棚田の自刻像《想像しているレリーフ》(2020年、作家蔵)。円空にも自刻像とされるものがあることを知って、この作品を制作したという。
円空も仙厓同様に庶民に寄り添い、彼らの祈りの心をすくい上げてきた。生涯に北海道から奈良まで諸国を巡り、仏を掘り続けている。一木から削り出した仏には荒々しい肌に素朴な願いが込められている。同じく一本の木から少年少女の像を彫りだしている棚田康司は長年、円空に惹かれてきた。湿潤な気候の日本では中国で盛んだった石像にかわって木の仏像が多く作られるようになったとの説もある。種類によって、また時を経るごとに木はさまざまな風合いを見せる。円空と棚田、ふたりの作る像には木の生命力や人が木に寄せる思いが感じられる。
円空《善財童子立像(自刻像)》(江戸時代・17世紀、岐阜・神明神社)。天を仰いで祈る姿は円空の心持ちを現しているのだろうか。
棚田康司《鏡の少女》(2017年、常陸国出雲大社コレクション)。これも一本の大木から彫り出されている。

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