ART
リー・ミンウェイの個展『禮、ギフトと儀式』がベルリンで開催中。
June 10, 2020 | Art | casabrutus.com | text_Yumiko Urae
“参加できるアート”の展示を過去30年、世界中で続けてきたリー・ミンウェイ。ベルリンで開催中の個展では、課題を贈ることで人と人との日常での繋がりを問いかけている。
ニューヨークとパリを拠点とする台湾出身の美術家リー・ミンウェイ。知らない者同士が一緒に食す、縫う、贈るなど参加型のインスタレーションを通じて、コミュニケーションを取る、来場者に作品を託すといったプロジェクトを展開してきた。ドイツでは自粛期間を経て今までにない大規模個展がベルリンの〈グロピウス・バウ〉で開催され、反響を得ている。
〈グロピウス・バウ〉中心の吹き抜けアトリウムでは終戦75周年を象徴して、チベット仏教徒のメディテーションの儀式である「砂の曼荼羅」の手法を用いたインスタレーションを実施。ピカソの《ゲルニカ》(1937)を再現した。〈グロピウス・バウ〉が東西分断の壁に遮られたギリギリの位置にあった歴史から、故意に砂の山や道具を残すことで、常に変革が起きていることをアピールしている。
本展示のための新たなプロジェクトは、クエーカー教徒であった画家エドワード・ヒックスが地球上で人と動物が共存する様子を描いた作品《私たちの平和な王国》(1833年頃)がモチーフになっている。ミンウェイは多国籍の画家27名を招き、それぞれの解釈で現在の「平和と共存」をテーマに作品を描いてもらい、フレームに収めたインスタレーションをテキストと共に発表している。
14時〜18時には、オペラ歌手が椅子に座る1人のためにフランツ・シューベルトの歌を歌うというパフォーマンス「ソニック・ブラッサム」が連日行われている。ミンウェイが幼い頃、母親が手術後にこの音楽を聞くと癒される効果があったことを回想し、日々の音楽の大切さを表現した作品だ。
〈グロピウス・バウ〉中心の吹き抜けアトリウムでは終戦75周年を象徴して、チベット仏教徒のメディテーションの儀式である「砂の曼荼羅」の手法を用いたインスタレーションを実施。ピカソの《ゲルニカ》(1937)を再現した。〈グロピウス・バウ〉が東西分断の壁に遮られたギリギリの位置にあった歴史から、故意に砂の山や道具を残すことで、常に変革が起きていることをアピールしている。
本展示のための新たなプロジェクトは、クエーカー教徒であった画家エドワード・ヒックスが地球上で人と動物が共存する様子を描いた作品《私たちの平和な王国》(1833年頃)がモチーフになっている。ミンウェイは多国籍の画家27名を招き、それぞれの解釈で現在の「平和と共存」をテーマに作品を描いてもらい、フレームに収めたインスタレーションをテキストと共に発表している。
14時〜18時には、オペラ歌手が椅子に座る1人のためにフランツ・シューベルトの歌を歌うというパフォーマンス「ソニック・ブラッサム」が連日行われている。ミンウェイが幼い頃、母親が手術後にこの音楽を聞くと癒される効果があったことを回想し、日々の音楽の大切さを表現した作品だ。
すでに昨年からプロジェクトに関わる参加者を募り、思い出の服を集めた「布の追憶」やほころびを直すプロジェクト「繕う」など、彼の作品へ市民の参加が続いている。フィジカル・ディスタンスが日常になった今だからこそ、歴史や異なる民族の文化を知るためのコミュニケーションがより一層尊く思える。
『Lee Mingwei: 禮 Li, Gifts and Rituals』
〈グロピウス・バウ〉
Niederkirchnerstr.7 10963 Berlin TEL+40 30 254 860。〜7月12日。10時〜19時(木、金曜〜21時)。火曜休。入館料15ユーロ。入館制限あり。事前オンライン予約可。必マスク着用。