銀座に「かたちのない建築」が出現? 吉岡徳仁インタビュー。 | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

銀座に「かたちのない建築」が出現? 吉岡徳仁インタビュー。

〈GINZA SIX〉の吹き抜け空間では、吉岡徳仁によるインスタレーション《Prismatic Cloud》が展示中! 1万本のプリズムが商業空間に浮かぶ、史上初の試みをどう実現したのか? 吉岡さんに聞いてみました。

2019年秋、制作が決まってから初めてのプレゼン資料。この時点での完成度の高さに驚く。この後、半年ほどかけて細かな検証が行われた。
アイデアを考えるときは、本命のアイデアだけではなく、それを軸にして派生させた他のアイデアもすべて検証します。そして改めて本当にこれでいいのか、検証していくプロセスが重要です。最終的には最初のアイデアに戻ることが多いんですけれど。

ただものづくりでアイデア以上に一番エネルギーを要するのは、それを最後まで実現させること。だから実際の完成物を想定した検証には一番時間がかかります。この作品ではロッドの形状や長さを5パターンほど作って、1mm単位で検証しました。たった1mmですが、光り方はもちろん、本数が多いので全体の荷重がかなり変わるんです。ここまで細かくやると、もう建築の領域ですね(笑)。
エスカレーターの途中や上層フロアのソファから見ると、プリズムの一本一本を見ることができる。鑑賞者に接近できるよう、あえて低い場所に作品を配置したという。
Q 遠くから見ると大きな雲ですが、細かく分解するとどんな仕組みでできているのでしょうか?

最小単位は、全長1m、一辺が10mmの正三角柱でできたプリズムロッドです。それを放射状に5本組み合わせたものを1ユニットとして、長さの異なるワイヤーで吊り下げました。いわばプリズムの塊の集合体ですね。さらにこのユニットを、どのワイヤーのどれくらいの高さに配置するか、1本ずつシミュレーションして設営の際に指示しました。

今回は、多くの制約をいかに乗り越えていくか、に苦心しました。商業施設なのであくまで機能的でなければいけないし、空間を損なわずに作品を展示する必要がありました。さらに作品を天井から吊るすため重量には限界がありますし、その下の売り場に光を反射させてもいけません。そういった点で、この空間で作品を作るのはすごく難しいんです。それを乗り越えてどのように常識を超えるなにかを作れるかが、自分にとって一つの挑戦でした。
1万本のプリズムを吊り下げるワイヤーの長さを1本ずつ微調整。設営現場ではこのシミュレーションをもとに指示を行う。
下から鑑賞する美術館などでの展示と異なり、エスカレーターや上層階からも見られる今回の作品。横からの視線も重視して設計した。
夜間に4日間かけて行われた設営の様子。「日本の職人さんはとても貴重面で助かった」という。設営中は身長の高さでユニットが固まりがちなので、ほぐしながら付けていく。
Q 最後に、これから作品を目にする人へメッセージをお願いします。

この作品はいくつものパーツが重なってひとつの彫刻を作るような作品。みんなで力を融合してひとつのものを形作る、というのが、今の時代に合っているんじゃないかと思っています。いま地球ではいろいろなことがありますが、この作品が少しでも力になれたらと思います。

本作品の展示は2020年10月下旬まで続く予定だ。

吉岡徳仁《Prismatic Cloud》

〈GINZA SIX〉中央吹き抜け
東京都中央区銀座6-10-1 TEL 03 6891 3390(GINZA SIX総合インフォメーション)。〜10月下旬(予定)。営業時間および臨時休業日は〈GINZA SIX〉公式サイトで要確認。

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