銀座に「かたちのない建築」が出現? 吉岡徳仁インタビュー。
〈GINZA SIX〉の吹き抜け空間では、吉岡徳仁によるインスタレーション《Prismatic Cloud》が展示中! 1万本のプリズムが商業空間に浮かぶ、史上初の試みをどう実現したのか? 吉岡さんに聞いてみました。
ただものづくりでアイデア以上に一番エネルギーを要するのは、それを最後まで実現させること。だから実際の完成物を想定した検証には一番時間がかかります。この作品ではロッドの形状や長さを5パターンほど作って、1mm単位で検証しました。たった1mmですが、光り方はもちろん、本数が多いので全体の荷重がかなり変わるんです。ここまで細かくやると、もう建築の領域ですね(笑)。
最小単位は、全長1m、一辺が10mmの正三角柱でできたプリズムロッドです。それを放射状に5本組み合わせたものを1ユニットとして、長さの異なるワイヤーで吊り下げました。いわばプリズムの塊の集合体ですね。さらにこのユニットを、どのワイヤーのどれくらいの高さに配置するか、1本ずつシミュレーションして設営の際に指示しました。
今回は、多くの制約をいかに乗り越えていくか、に苦心しました。商業施設なのであくまで機能的でなければいけないし、空間を損なわずに作品を展示する必要がありました。さらに作品を天井から吊るすため重量には限界がありますし、その下の売り場に光を反射させてもいけません。そういった点で、この空間で作品を作るのはすごく難しいんです。それを乗り越えてどのように常識を超えるなにかを作れるかが、自分にとって一つの挑戦でした。
この作品はいくつものパーツが重なってひとつの彫刻を作るような作品。みんなで力を融合してひとつのものを形作る、というのが、今の時代に合っているんじゃないかと思っています。いま地球ではいろいろなことがありますが、この作品が少しでも力になれたらと思います。
本作品の展示は2021年2月下旬まで続く予定だ。
吉岡徳仁《Prismatic Cloud》
〈GINZA SIX〉中央吹き抜け
東京都中央区銀座6-10-1 TEL 03 6891 3390(GINZA SIX総合インフォメーション)。〜2月下旬(予定)。営業時間および臨時休業日は〈GINZA SIX〉公式サイトで要確認。