“北欧のフェルメール”、ハマスホイの静かな部屋へ。 | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

“北欧のフェルメール”、ハマスホイの静かな部屋へ。

「北欧のフェルメール」の別名もあるデンマークの画家、ヴィルヘルム・ハマスホイ。彼の絵が同時代のデンマーク絵画とともに展示されます。静けさの中にさまざまな感情が漂う絵画をじっくり味わうチャンスです。

ヴィルヘルム・ハマスホイ《室内—開いた扉、ストランゲーゼ30番地》1905年 デーヴィズ・コレクション蔵。 The David Collection, Copenhagen
ヴィルヘルム・ハマスホイ《農場の家屋、レスネス》1900年 デーヴィズ・コレクション蔵。 The David Collection, Copenhagen 簡略化された表現が抽象的ともいえる画面を構成する。 
ヴィルヘルム・ハマスホイ《若いブナの森、フレズレクスヴェアク》1904年 デーヴィズ・コレクション蔵。 The David Collection, Copenhagen 寒冷な北欧らしい風景。 
ハマスホイが17世紀オランダ絵画に惹かれていたのは間違いない。今回は出品されないが、フェルメール《手紙を読む青衣の女性》とよく似た絵もある。彼は3度オランダを旅し、〈アムステルダム国立美術館〉や〈マウリッツハイス美術館〉を訪れていた。さらに若い頃にはパリの〈ルーブル美術館〉やロンドンの〈大英博物館〉で古代ギリシャの大理石彫刻などを模写している。彼の古典的な感覚はこうして養われていった。
ピーザ・スィヴェリーン・クロイア《スケーイン南海岸の夏の夕べ、アナ・アンガとマリーイ・クロイア》1893年 ヒアシュプロング・コレクション蔵。 © The Hirschsprung Collection
スケーイン派の画家、クロイアが描いたスケーインの海辺の風景。独特の景観に惹かれて集まった画家たちが印象派風の絵画を多く描いた。クロイアはハマスホイの師でもある。
ピーダ・イルステズ《ピアノに向かう少女》1897年 アロス・オーフース美術館蔵。 © Photo: Ole Hein Pedersen 子どもへの愛情が感じられる一枚。彼はハマスホイの妻イーダの兄であり、義理の弟であるハマスホイから大きな影響を受けた。
ヴィゴ・ヨハンスン《きよしこの夜》1891年 ヒアシュプロング・コレクション蔵。 © The Hirschsprung Collection クリスマスの夜の楽しげな情景。
ヴィゴ・ヨハンスン《春の草花を描く子供たち》1894年 スケーイン美術館蔵。 Art Museums of Skagen まさに“ヒュゲ”な光景を描いた一枚。
今回の展覧会には日本初公開の作品も含め、およそ40点のハマスホイ作品が並ぶ。また19世紀前半、デンマーク絵画の黄金期と呼ばれた時代の絵画や、印象派風の光の描写を取り入れたスケーイン派の画家たちの作品など、同時代のデンマーク絵画を日本で初めて本格的に紹介する。それらの絵画にはデンマークの人々が大切にしている「ヒュゲ」という価値観があるという。「ヒュゲ」とはくつろいだ、心地よい雰囲気のこと。家で家族が集まり、のんびり食事をしているようなときに使われる言葉だ。ハマスホイの絵に寂寥感や孤独を感じる人もいるだろうが、同時になぜか心安らぐ感覚を覚えることはないだろうか。煩わしい世間から隔絶されて内面の宇宙を旅する、そんなときに見たい絵だ。

『ハマスホイとデンマーク絵画』

〈東京都美術館〉東京都台東区上野公園8-36。1月21日〜3月26日。9時30分~17時30分(金曜、2月19日、3月18日は20時まで)。月曜、2月25日休(ただし2月24日、3月23日は開室)。※なお、同展は〈山口県立美術館〉に4月7日〜6月7日巡回予定。

ヴィルヘルム・ハマスホイ

1864年、デンマーク・コペンハーゲン生まれ。15歳でコペンハーゲン王立美術アカデミー入学。コペンハーゲンを拠点に活動するが、外国へも頻繁に旅している。1916年、咽頭ガンにより死去。近年、オルセー美術館、ニューヨーク・グッゲンハイム美術館、ハンブルク美術館などで回顧展が開かれ、人気となっている。 ※画像はヴィルヘルム・ハマスホイ《画家と妻の肖像、パリ》1892年 デーヴィズ・コレクション蔵。The David Collection, Copenhagen

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