東京国立近代美術館で『窓展』が開催中! | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

東京国立近代美術館で『窓展』が開催中!

窓に焦点を当て、そこにかかわる多様な作品を一堂に集めた異例の展覧会『窓展:窓をめぐるアートと建築の旅』が、〈東京国立近代美術館〉で始まりました。

ピーター・アイゼンマンやロバート・ヴェンチューリなど建築家のドローイングやスケッチが並ぶコーナー。窓の捉え方が各人で異なる様子が見て取れる。
反対側の壁に沿って展示されているのは、金沢工業大学のアーカイブから借りたという17〜18世紀の建築書5冊。ゴシックやルネッサンス、バロックなど、時代ごとの窓が精緻に描かれている様子を見ることができる。

その横では、ル・コルビュジエをはじめ、ルイス・カーン、ジェームズ・スターリング、ピーター・アイゼンマンなど近代以降の建築家のスケッチやドローイングを11点展示。直筆のタッチからは各人の性格とともに、窓に対する着眼点や意図をうかがい知ることができ、こちらも飽きないものだ。

なお、鑑賞の際にはお手元に、会場入口に置いてある小さな冊子を携帯していただきたい。この冊子は五十嵐が「文字による副音声のような解説」を意図して用意したもの。美術の文脈から解説されている今回のアート作品について、「窓学」の視点で見たときの解説が加えられている。建築的な見方がいっそう培われるに違いない。
アンリ・マティス《待つ》。開いたカーテン越しに遠くを見つめる左の女性と、閉まったカーテンを前に頭を垂れる右の女性の構図が意味深。
1921-22年 油彩・キャンバス 愛知県美術館
左より、ピエール・ボナール《静物、開いた窓、トルーヴィル》、アンリ・マティスの《待つ》と《窓辺の女》。
林田嶺一《キタイスカヤ街のとあるレストランの窓》。幼少時代、レストランの窓越しに見た第二次上海事変の光景の記憶を、カラフルなポスターの絵柄にして窓をうがった箱型の構造におさめている。2001年 ミクストメディア 青森県立美術館
林田嶺一による戦争の記憶を元にした立体作品などが並ぶテーマ「窓からのぞく人 Ⅰ」の展示会場。
次のテーマからは、本格的にアートの展示が始まる。窓周辺の人物と景色の構図に着目できる、アンリ・マティスによる《窓辺の女》や《待つ》。窓のモチーフが潜んでいると言われる、マーク・ロスコやジョセフ・アルバースなどによる抽象絵画。

激動する時代にあって、窓に込められたメッセージを読み取ることのできる国内外のアーティストによる作品。写真や映像、インスタレーションなどに展開される、窓に関連する作品。

スクリーン化する窓に呼応した作品が増える一方で、ピンホール・カメラで光と景色に立ち戻る動きがあるのも興味深いところ。いずれも、窓特有の視点の切り替わりや、見る/見られるといった性格を引き出しながら、時代ごとの社会を鋭敏に切り取って表現している点に注目したい。
手前は、マルセル・デュシャン《フレッシュ・ウィドウ》、奥は左より、アド・ラインハート《抽象絵画》、ロイ・リキテンシュタイン《フレーム Ⅳ》、ベルトラン・ラヴィエ《ガラスの下の絵画》。抽象絵画やポップアートにも窓が影響している。
ポーランドを代表するアーティスト、タデウシュ・カントルによる《教室─閉ざされた作品》Tadeusz Kantor (c)Maria Kantor & Dorota Krakowska / Tadeusz Kantor Foundation。第一次大戦から第二次大戦にかけて苦難の道を歩んだポーランドの歴史が垣間見える。
西京人(小沢剛、チェン・シャオション、ギムホンソック)《第3章:ようこそ西京に──西京入国管理局》。国境を越えるための入国管理局を窓として見立てており、入国には「とびきりの笑顔」などを要求される。
2012年
そして、美術館の前庭に設置された《窓に住む家/窓のない家》は、時間をかけて体感したい。藤本壮介が大分県に設計した〈House N〉の別バージョンともいえる作品では、窓ともいえる孔が開けられた2つの箱が、入れ子状に重なっている。

「内部に入ると、窓を通して刻々と移りゆく光や影とともに、周囲への広がりや距離感の微妙な変化を味わうことができる。所蔵品ギャラリーのある2階や4階から見るのもオススメ」と五十嵐は見どころを語る。

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