ART
建築好きの“やどかり”を発見!? AKI INOMATA国内初の個展。
August 20, 2019 | Art | casabrutus.com | text_Housekeeper
やどかりに「やど」を提供して住み替えてもらったら? という独特な発想で世界を覗き込むAKI INOMATAのこれまでのプロジェクトを集めた国内初の個展が、〈十和田市現代美術館〉にて開催される。
建築好きのやどかりがビルを背負って旅してる!? おしゃれなミノムシが衣服の切れ端を使って洋服をデザイン!? 思わずくすっと笑ってしまうユニークな発想のこれらの作品は、 ミラノトリエンナーレやタイビエンナーレ、フランスの〈ナント美術館〉など、これまで海外を中心に活動してきたAKI INOMATAによる作品。彼女の集大成とも言える展覧会が9月14日から〈十和田市現代美術館〉で行われる。
3Dプリンターで都市を象った殻への引っ越しを観察する『やどかりに「やど」をわたしてみる』や、タコやアンモナイトについて考察した『進化への考察 #1:菊石(アンモナイト)』、ミノムシに衣服を身に纏ってもらう『girl, girl, girl,,,』など、ユーモア溢れる着想はそれだけで見るものの心をくすぐるが、AKI INOMATAの作品は、独創的なアプローチの向こう側に浮かび上がる人間自身の姿を、人間以外の生物を通して再発見させてくれるようだ。
AKI INOMATA:Significant Otherness 生きものと私が出会うとき
〈十和田市現代美術館〉青森県十和田市西二番町10-9。9月14日〜2020年1月13日。 9時〜17時。月曜・年末年始休。TEL 0176 20 1127。
AKI INOMATA
1983 年生まれ。2008 年東京藝術大学大学院先端芸術表現専攻修了。生きものとの協働作業によって作品制作をおこなう。主な作品に、3D プリンターを用いて都市をかたどったヤドカリの殻をつくり実際に引っ越しをさせる 「やどかりに『やど』をわたしてみる」、飼犬の毛と作家自身の髪でケープを 作ってお互いが着用する「犬の毛を私がまとい、私の髪を犬がまとう」など。 近年の展覧会に、「ミラノトリエンナーレ Broken Nature」(2019)、「タイ ビエンナーレ 2018」(クラビ市内、タイ、2018)、「Aki Inomata, Why Not Hand Over a “Shelter” to Hermit Crabs ?」(ナント美術館、フランス、 2018) などがある。(撮影:新津保建秀)