塩田千春の圧倒的なインスタレーション空間へ。 | ページ 3 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

塩田千春の圧倒的なインスタレーション空間へ。

赤や黒の糸、舟、燃えたピアノ、窓枠……。さまざまな意味が読み取れるオブジェが大空間を埋め尽くす、塩田千春のインスタレーションが〈森美術館〉で展示中。過去最大級の個展『塩田千春展:魂がふるえる』に込めた思いを聞きました。

《集積:目的地を求めて》(2014/2019年)。約430個のスーツケースが吊されて振動する。持ち主はどこから来て、どこへ行ったのか、想像をかき立てる。
たくさんのトランクを赤い糸で吊したインスタレーションは圧巻だ。いくつかのトランクはときどき、ゆらゆらと揺れる。

「どこにいても自分の生まれ故郷とはつながっている。赤い糸はそんなことを現しています。トランクが揺れるのは旅立つ前の振動です。旅立つ日の朝にいろんな思いが詰まったスーツケースを持って、今から行くぞ、と震えている。私の展覧会は基本的には現地制作なので、必要なものだけトランクに詰めて旅をしているのですが、人はこれだけのもので生活できるんだな、と思うことがよくありますね」
《行くべき場所、あるべきものー写真》(2010年)。旅に必要なものではなく、記憶を運んでいるよう。
トランクはドイツで集めたもの。かなり古いものも多い。

「人が使っていたもの、誰かの記憶が残されているものは、その人の存在そのものよりもその人を現しているような気がするんです」
《内と外》(2009/2019年)。作者の拠点・ベルリンの、旧東側で集めた窓枠。「同じ国、同じ言葉を話す人々が壁によって30年近く分断されていたとき、どんな思いで窓から東西を見ていたのだろう」(塩田)
誰も座っていない椅子や遊ぶ人のいないおもちゃ、吊されたドレスなど、人の不在がその存在を浮き上がらせる。記憶が詰まったさまざまなものには、観客のそれぞれの物語が反映されているように感じる。だからこそ、一見弱いものに見える糸や骨組みだけの舟が圧倒的な強度で迫ってくるのだ。
ドローイングも見逃さないようにしたい。手、鍵、糸などがさまざまな意味を持って立ち現れてくる。
《存在の状態》(2018年)。結晶のような鉄枠に赤い糸が張り巡らされている。
《不確かな旅》での塩田千春。終わらない旅へと観客を誘う。

『塩田千春展:魂がふるえる』

〈森美術館〉東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階。〜10月27日。10時~22時、火曜のみ17時まで。TEL 03 5777 8600。1,800円。

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