瀬戸内国際芸術祭 2019〈小豆島・高松・宇野港〉新作レポート | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

瀬戸内国際芸術祭 2019〈小豆島・高松・宇野港〉新作レポート

回を重ねるごとにパワーアップしている『瀬戸内国際芸術祭』の春会期がスタート! 今年も見どころが満載です。本記事では、小豆島・宇野港・高松エリアの新作を中心に、知っているとさらにアートが面白くなるストーリーを紹介します!

シャン・ヤン《辿り着く向こう岸−シャン・ヤンの航海企画展》。古い家具を組み合わせて作った船と灯台。
シャン・ヤン《辿り着く向こう岸−シャン・ヤンの航海企画展》。灯台には屋根がないので、下から見上げると空が見える。
小豆島の草壁港近くに、船と灯台のオブジェを作ったのはシャン・ヤンだ。《辿り着く向こう岸−シャン・ヤンの航海企画展》というタイトルがつけられている。

「出会いや希望、思い出を載せた船にのって、知らない未来や愛を探しに行くのです」と彼は言う。

船は中国の古い家具や、彼が滞在していたニューヨークで見つけた、捨てられていた椅子の部品でできている。中国で生まれ、ニューヨークを経て世界各地を旅している彼の人生が重なる。その原点になったのは、彼の子どもの頃の記憶だ。
シャン・ヤン《辿り着く向こう岸−シャン・ヤンの航海企画展》。左側に見える階段から上に登ることもできる。世界各地で展示されてきた船は、場所に合わせて少しずつアレンジされている。小豆島では日差しを浴びられるよう、屋根を取り払った。
シャン・ヤン《辿り着く向こう岸−シャン・ヤンの航海企画展》、船のディテール。
「私が3歳の時、父が文化大革命の影響でいなくなってしまったんです。母は私を連れて船に乗り、父を探しに行った。母は必死だったと思いますが、私は幼かったので母に守られているような感じがして安心していました」

国家を動かす大きな歴史や文化が小さな存在である個人を翻弄する。この船はそんなことも象徴している。夏会期には長さ27メートルの船を作り、設置する。彼はこれらの船や灯台を芸術祭終了後、さらに大きな船のパーツにし、それを海に浮かぶアートセンターにしたいと考えている。アーティストや観客が集まってレクチャーやワークショップなどをするような場所だ。国境を越えて移動できる船でアートと人が出合う。多彩な可能性を感じさせるプロジェクトだ。
近くにある小さな小屋の中では壁をいくつも塗り重ね、それを削り取ることで絵を描いている。日本の古い写真がモチーフだ。
自作の前のシャン・ヤン。
前回の芸術祭では波や風で崩れ、消えてしまう砂で子供たちをかたどった像をつくったリン・シュンロン。今回の作品《国境を越えて・波》では、観客は竹で作った巨大な構造物の中を歩くことになる。日本の前衛華道のようにたくさんの竹が突き出たウニのようなオブジェの中に、螺旋状のスロープが作られているのだ。
リン・シュンロン《国境を越えて・波》。5000本もの竹を使ったオブジェは風が吹くと海中の生き物のように揺らぐ。
このスロープを抜けて海辺に出ると、海中に子どもがひとり立っている。今回の子どもの像はブロンズ製なので、崩れることはない。竹のオブジェは、この子どもを育んだ母胎だ。内部では風や木漏れ日が入って、自然に包まれていることが実感できる。壮麗なステンドグラスで飾られたゴシック建築の教会に通じるかもしれない。さまざまな形の“神聖さ”を感じさせる。
リン・シュンロン《国境を越えて・波》。遠いところから帰ってきた子ども。ブロンズ製なので、いつまでもそこに立っている。
小豆島・中山にある棚田と山に囲まれた小さな谷のようなスペースには今回もワン・ウェンチーが竹を編んだ巨大なオブジェ《小豆島の恋》を作った。今年で4回目になるが、毎回すべて造り替えられている。
会員プログラム

登録者数12,000人突破!

建築家のアトリエ見学/名作家具プレゼント/限定メールマガジン…すべて無料。

建築家のアトリエ見学に、名作家具プレゼントも。

いますぐ登録!