アーティストが作品を選んだら? “横美”30周年記念展へ|青野尚子の今週末見るべきアート | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

アーティストが作品を選んだら? “横美”30周年記念展へ|青野尚子の今週末見るべきアート

開館30周年を記念して開かれている〈横浜美術館〉のコレクション展は、ひと味違う。4人のアーティストがそれぞれの視点からコレクションをセレクト、さらに自作を追加しているのだ。展示室をフル稼働、ロビーや館外にもアートが並ぶスペシャルな企画です。

束芋《あいたいせいじょせい》2015年(展示風景)。椅子などのオブジェが壁に取り付けられ、そこに映像が投影される。
作品中に人物は登場しないが、室内にうごめく不気味なものがさまざまなものを暗示する。
2009年、〈横浜美術館〉の開館20周年という節目に個展を開催した束芋もゲスト・アーティストのひとり。彼女は2015年に制作した映像インスタレーション《あいたいせいじょせい》を展示した。作品タイトルは「相対性」「会いたい」「相対死に(あいたいじに=心中)」「女性」という言葉からつけたもの。近松門左衛門の人形浄瑠璃『曽根崎心中』もモチーフのひとつになっている。
束芋がセレクトした歌川(月岡)芳年《新選東錦絵 延命院日当話》。延命院の美男住職が女性信者と関係を持つというスキャンダルを元にした絵。
束芋セレクトの山村耕花《謡曲幻想 隅田川・田村》。右隻の「隅田川」は、死んだ子を弔ったという塚が我が子のものであることに気づいて嘆く女を描いたもの。
束芋がセレクトしたのは幕末の錦絵や近代の日本画の中でも情念、とくに女性の情念を感じさせる作品だ。歌川(月岡)芳年、鏑木清方、安田靫彦など、束芋自身も表現などで影響を受けた絵画が並ぶ。恋慕、嫉妬、恨みなどどろどろした感情が束芋の作品とあいまって濃い空間を作り出している。
束芋セレクトの安田靫彦《松風》。在原行平の歌をもとにした能で、行平が須磨で海女の松風と村雨の姉妹と出会うが、都に戻り亡くなる。行平を恋い焦がれる姉妹は死んだ後も成仏できず彷徨うという物語。

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