上質な時間に寄り添うノーブルなトイレ。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

上質な時間に寄り添うノーブルなトイレ。

『カーサ ブルータス』2019年2月号より

豊かな時間を過ごすためのゲストハウス〈鎌倉はなれ〉。日本家屋の美しい陰影を生かしたその空間に選ばれたのは、〈INAX〉の黒いタンクレストイレ《SATIS》でした。

鎌倉の日本家屋をリノベーションした一棟貸しゲストハウス。野地板現しの天井や梁・柱は古い建物のまま。壁はグレーで塗装し、陰影を楽しむデザインとした。
美しい山と木々に囲まれ、鎌倉時代の古刹が点在する地、二階堂。“奥鎌倉”と呼びたくなる静かな小路の先に現れるのは、2019年1月末にオープンするゲストハウス〈鎌倉はなれ〉だ。広い庭と縁側を持つ建物は、昭和30年ごろに建てられた木造2階建ての日本家屋をリノベーションしたもの。設計は、谷尻誠と吉田愛の共同主宰によるSUPPOSE DESIGN OFFICEが手がけている。1階はいったんスケルトンにした後、リビングダイニングとキッチン中心のゆったりとした空間にリデザイン。元の梁・柱や木製サッシのガラス戸をそのまま使い、古い素材の温かみと存在感を生かした。

SUPPOSE DESIGN OFFICEといえば、オフィスと食堂を融合させた〈社食堂〉や建築の可能性を見出す〈21世紀工務店〉など、建築を軸足にした試みでも注目されるが、このゲストハウスもそのひとつ。土地のポテンシャルを引き出す建築プロジェクト〈絶景不動産〉が運営を担っている。

「この家でいちばん魅力的なのは、室内から眺める鎌倉の自然や庭の景色。だから、部屋はあえて薄暗くして外の景色を引き立てる、そんなデザインを考えました」と話すのは吉田。室内の壁は暗めのグレーで塗装し、床は濃墨色のモルタル仕上げ。照明もできるかぎり控えめにした。

「リビングやキッチンだけでなくトイレやバスルームの壁もすべて同じグレーです。この土地と建物のよさを生かすためには、“心地いい陰影”をデザインすることが大切だと思ったので」
「心地いい陰影」をデザインしたトイレ空間。グレーの壁に合わせて選ばれたのは、〈INAX〉のタンクレストイレ《SATIS》Gタイプのノーブルブラック。マットで上品な黒が特徴。
奥行105cmのカウンターを持つオープンキッチンは、フードディレクター浅本充のプロデュース。壁やカウンターは暗めのグレーで統一。
椿やツゲが繁るアプローチを歩いて玄関へ。
寝室にも使える8畳の和室。庭を望む雪見障子や杉板の天井は昔のまま。
キッチンの一角に設けた互い違い階段。古い躯体を生かした柱との取り合わせが面白い。2階はスタッフ専用。
奥行105cmのカウンターを持つオープンキッチンは、フードディレクター浅本充のプロデュース。壁やカウンターは暗めのグレーで統一。
椿やツゲが繁るアプローチを歩いて玄関へ。
寝室にも使える8畳の和室。庭を望む雪見障子や杉板の天井は昔のまま。
キッチンの一角に設けた互い違い階段。古い躯体を生かした柱との取り合わせが面白い。2階はスタッフ専用。
そう話す吉田がこの家に合わせて選んだのは、〈INAX〉のタンクレストイレ《サティス》Gタイプのノーブルブラックだ。上品な黒とマットな質感、そしてシンプルなデザインが、グレイッシュな空間によくなじみ、落ち着いた雰囲気をつくっている。

ほの暗い場所で過ごす時間は想像以上に心地いい。そう気づかせてくれる〈鎌倉はなれ〉には、もうひとつの特徴がある。それは、「食にまつわる豊かな時間」を体験できること。実は食のアドバイザーを人気フードディレクターの浅本充が担当し、この場所ならではの食の楽しみ方の提案を盛り込んでいるのだ。例えば、キッチンは大人数でも調理できるペニンシュラ(半島)型。小人数で泊まるならここが朝食カウンターになるし、大勢でのステイなら朝市で新鮮な野菜や地魚を手に入れて、カウンターを囲んでわいわい調理するのもいい。

〈鎌倉はなれ〉でゲストが体感できるのは、鎌倉の自然がもたらす「心地いい陰影」と「食の楽しみ」。都会で過ごす楽しさとはひと味違う、豊かで滋味に満ちた時間が待っている。

〈鎌倉はなれ〉

鎌倉駅から車で15分ほどの二階堂地区に建つ一棟貸しのゲストハウス。庭付きの日本家屋をリノベーションした建物内は、リビングダイニングとキッチン、和室と個室が1室ずつにバス&トイレからなる。SUPPOSE DESIGN OFFICEによるプロジェクト「絶景不動産」が取り扱う。2019年1月末オープン予定。●神奈川県鎌倉市二階堂 TEL 03 6804 9130(絶景不動産)。