建築家・田根剛の思考を、初台と乃木坂で体験しよう。 | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

建築家・田根剛の思考を、初台と乃木坂で体験しよう。

パリを拠点に活動する建築家・田根剛。その初めての大型個展『田根剛|未来の記憶 Archaeology of the Future』が、初台の〈東京オペラシティ アートギャラリー〉と乃木坂の〈TOTOギャラリー・間〉で同時開催されています。両館の展示の見どころを追ってみました。

●記憶を発掘し、建築を形作る。〈東京オペラシティ アートギャラリー〉

会場入り口のマニフェスト前に置かれているのは、現在進行するプロジェクトにまつわる古材を集めた「記憶会議」。
〈東京オペラシティ アートギャラリー〉では副題を「Digging & Building」とし、田根の代表作から最新プロジェクトまでを大型模型や映像で体感できる。まず田根は、現在進行中のプロジェクトにまつわる古材や旅先で手に入れたオブジェの数々で来場者を迎える。たとえば床に置かれたガラスの塊はスリランカのガラス工場を訪れた際に放置されていたものを譲り受けたもの。レンガの塊は弘前で進められるプロジェクトのなかで強度試験に使われた欠片で、ローマで拾った石なども置かれている。
「記憶の発掘」と名付けられた最初の展示室。12のテーマに基づいてリサーチされたイメージの集積で部屋を構成する。
そこを抜けると、無数の写真や図で壁と床が覆い尽くされた展示「記憶の発掘」が広がる。「IMPACT(衝撃は最も強い記憶である)」や「TRACE(記憶は発掘される)」など12のテーマに基づく「記憶」自体の「Archaeological Reseach」(=考古学的リサーチ)が空間的に展開される。クラウド上にアップされた記憶に関する田根の思考を実空間で体験するかのようだ。たとえば「FICTION(幻想は記憶である)」はこれまでに人々の想像力が生み出した幻想のイメージを取り扱うが、「それは人々が理想(ユートピア)を形にして、目に見えないものを形にしていた時代。大切なのは、その先に未来があること。記憶には未来の原動力となる起点があるんです」と田根は言う。
「FICTION(幻想は記憶である)」では、人々の想像の産物といっていい幻想の絵画などを貼りこむ。歴史の上では、これがやがて別の形で姿をなしていくことも。
「COMPLEXITY(複雑性に記憶はない)」は動植物の進化や都市が発展する姿を例に、複雑性を獲得して進化していくことに記憶は必要ないとし、その進化にも着目する。
12の視点は時にゆるやかに入り混じっており、田根がどのように思考したのか、その跡を辿ることができる。
「FICTION(幻想は記憶である)」では、人々の想像の産物といっていい幻想の絵画などを貼りこむ。歴史の上では、これがやがて別の形で姿をなしていくことも。
「COMPLEXITY(複雑性に記憶はない)」は動植物の進化や都市が発展する姿を例に、複雑性を獲得して進化していくことに記憶は必要ないとし、その進化にも着目する。
12の視点は時にゆるやかに入り混じっており、田根がどのように思考したのか、その跡を辿ることができる。
「ここでのテーマは“未来の記憶”。これらは具体的なプロジェクトに直結するものではなく、僕自身がまだわかっていない部分やこれから何をやりたいかを探るリサーチの内容です。そこで記憶をリサーチすることにしました。考古学的に“未来の記憶”を探ることで、より深く記憶の意味へとたどり着くことができました。いまはその模索段階ですが、今回の展示ではその姿を表現しました。12のキーワードをスタッフとともにリサーチをすることで一つのスタイルに類型化せず、僕自身もリサーチの結果に驚き、そして次のステージへ向かいたいと思って取り組んできました」
アーティスト、藤井光が撮影した〈エストニア国立博物館〉の映像作品が投映される。左右の壁それぞれに映像が流れるが、これは占領時代と独立後、冬と夏など、二面性を表現している。
田根の脳内に潜り込んだかのような展示の先は、一転して映像の世界に。アーティストの藤井光が撮影した〈エストニア国立博物館〉の映像には、オフィスや収蔵庫など、一般には見られない空間までが映し出される。壁面の大きな映像は、まるで実際の空間を体験するかのような臨場感をもつ。