台湾三都市 台中―高雄―台北 伊東豊雄建築を巡る旅。 | ページ 5 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

台湾三都市 台中―高雄―台北 伊東豊雄建築を巡る旅。

現代建築の巨匠・伊東豊雄が台湾で多数のプロジェクトを手がけていることを知っていますか? 今回は、そんな伊東建築巡りを目的に、台中、高雄、台北の三都市ツアーへ出かけました。

〈松山台北文創ビル〉の南東側外観。手前は工場と共につくられた池を保存活用した庭。
最後は〈松山台北文創ビル〉へ向かう。かつて煙草工場だった敷地の一角を再開発した文化施設〈松山文創園区〉の中核をなす建物だ。

各階は曲率の異なる緩やかな曲面で囲まれた平面形で、南側は上層に向かうほどセットバックする。南北面はガラス張りで、伊東の代表作〈せんだいメディアテーク〉のように内部の様子が外へ漏れ出している。リノベーションされた旧煙草工場や緑豊かな庭園とは対照的な、エッジの効いた外観だ。
ホテル〈誠品行旅〉客室。池や緑が広がる建物東側の3階から13階に入る。
このビル、中身もかなり尖っている。文創とは、文化創造の略。〈松山台北文創ビル〉は台湾のクリエイティブ産業を後押しすべく、台北市と、台湾の財閥「富邦集団」による半官半民の出資で開発された施設なのだ。だからオフィスに入居しているのはクリエイティブ系の会社が中心だし、ホテル〈誠品行旅〉も本を内装に使うなどカルチャー色が強い。
〈誠品行旅〉ラウンジ。誠品書店が運営するホテルとあって5,000冊の蔵書が並ぶ。
そして地下1階から3階を占める〈誠品生活松菸店〉に置かれているものは、すべて台湾発。独立系ブランドの「ゆるかわ系」ファッションや雑貨、オーガニックコスメ、食材などが所狭しと並んでいる。台湾では文学やアートを嗜む文化系の若者は「文芸青年」と呼ばれ、一種の流行現象となっているが、本や映画、手づくり雑貨といった〈松山台北文創ビル〉が擁するコンテンツは、いかにも文芸青年をイメージさせる。台湾の今を知るならば、建築ファンならずとも外せないスポットだ。台湾の文化を発信する場所の設計に、外国人建築家を起用するというのは少し不思議な気もするが、ちょっとゆるくて繊細な台湾発の文化系センスが、伊東豊雄のつくるオーガニックな空間にマッチしているのは確かだ。
地下2階の映画館〈誠品電影院〉。3つのシアターと通路は星空をイメージした内装で、伊東豊雄が手がけている。写真は131席のシアターA。
〈誠品電影院〉通路。