山下めぐみのロンドン通信|ヘルシンキの新美術館 〈アモス・レックス〉へ。オープニングはチームラボ。 | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

山下めぐみのロンドン通信|ヘルシンキの新美術館 〈アモス・レックス〉へ。オープニングはチームラボ。

今回はロンドンから飛行機で約3時間。フィンランドの首都ヘルシンキへ。アアルト、マリメッコ、ムーミン、イッタラなど建築とデザインの宝庫だ。そのど真ん中にオープンした美術館 〈アモス・レックス〉と、今後のヘルシンキについてレポートしたい。

展示は、アモス・アンダーソンのコレクションであるフィンランドのポスト印象派の作品などの常設ほか、巨大なギャラリースペースでは幅広い作品の企画展や巡回展が開催される。 初回は「フィンランドに新しいタイプのアートを紹介したい」と、チームラボが選出されている。

本展は4つの作品からなる。「デジタル技術により、表現は物質から解放された自由なものになりました。 境界がなく、観る者が作品の一部として溶け込んでいくようなものを表現したかった」と、チームラボ代表の猪子寿之。 2年前から準備を進めてきたという意欲作は、 積極的に現代アートを紹介して行こうという美術館の期待に応えるものになっている。「teamLab: Massless」展は2019年1月6日まで。
Crows are Chased and the Chasing Crows are Destined to be Chased as well, Transcending Space:3本脚のヤタガラスが追い追われ、やがてぶつかって花となって散るという作品。プログラミングでリアルタイムに描かれ続け、常に変容を続ける。
Vortex of Light Particles:ドーム天井の巨大空間では、水の粒子の挙動によって描かれた線が、光を遮断されたブラックホールのような天窓に向かって吸い込まれる水のような映像を描き出す。
Graffiti Nature: Lost, Immersed and Reborn:は、ビジターが描いた蝶や花。ワニなどが展示の一部になっていく。
Black Waves : 水の動きをシュミレーションして構築された波。本物の波を撮った映像よりも生々しく感じられることを目指し、 波と一体化するような感覚を促す。
国際コンペで話題になったグッゲンハイム美術館の建設は中止になったヘルシンキだが、グローバルブランドに頼らず、 自国の文化的財産や特徴を生かしながら、2021年までに「世界で最も機能的な都市」を目標に掲げている。この〈アモス・レックス〉をはじめ、今後もさまざまな施設のオープンが計画されている。

12月には国会の正面に新ランドマークを目指す〈Oodiヘルシンキ中央図書館〉もオープンする。こちらも国際コンペを経て地元の設計事務所ALAが手がける意欲作。建築とデザイン専門のミュージアムの創設も発表になった。「デザイン」を資産とする都市計画に今後も注目していきたい。
12月にオープンする〈Oodiヘルシンキ中央図書館〉。図書館は市民の生活に欠かせないというフィンランド。 多目的に使える市民の拠り所をめざす。

〈Amos Rex〉

Mannerheimintie 22–24, 00100 Helsinki TEL 358 9 6844 4633。11時〜18時(水・木〜20時、土・日〜17時)。火曜休。入場料18ユーロ。

山下めぐみ

ロンドンに暮らしてはや25年。本誌などに建築&デザイン関係の記事を寄稿する。これまでインタビューした建築家らに一筆願ったサイン帳が自慢。死ぬまでに見たい建築(通称シヌケン)など、ケンチクを巡るタビを企画提案するArchitabi主宰。