素材から隈研吾の建築をひもとく個展がスタート! | ページ 3 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

素材から隈研吾の建築をひもとく個展がスタート!

世界各地で多くのプロジェクトを進行中の隈研吾。彼の建築の多彩な表情は木や石、紙や土などの素材を巧みに使いこなすことで生まれます。

右が空気を入れて膨らませる《Tea Haus》の模型、左は空気枕のようなユニットで空間が作れる《エアーブリック》。空気と膜という一見頼りない素材で安心感のある空間ができる。
展覧会の最後は「膜/繊維」のエリア。普段は畳んでおき、使うときに空気で膨らませる茶室や、透明な空気枕のようなものを組み合わせて空間を作る《エアーブリック》が展示されている。

「自分で建築を作れる、民主的な方法だと思います」(隈研吾)
《小松精練ファブリックラボラトリー fa-bo》の模型。カーボンファイバーの糸が建物の揺れを止める。見た目は軽やかだけれどしっかりと建築を守る。
建物全体が細い糸で覆われた〈小松精練ファブリックラボラトリー fa-bo〉では、カーボンファイバーを使った。鉄の7倍の引っ張り強度を持ち、軽くて柔らかい。建物をすだれのように覆う糸が耐震補強になるのだ。

「硬くて加工が難しい鉄などに代わって、21世紀の建築は洋服に近い気楽なものになる、と思うんです」(隈研吾)
吉祥寺・ハモニカ横丁の焼き鳥屋「てっちゃん」の内装に使った廃LANケーブル、通称「もじゃもじゃ」。カラフルな糸が適当に絡み合う様子は気軽な焼き鳥屋にふさわしい。
技術革新によって経済や人々の暮らし方が変化する、そのスピードが速くなってきた現代、その考え方は理にかなっている。隈は建築や素材の耐久性についても次のように考えている。

「ケースバイケースですが、一つはエイジングによって魅力が増すようにすること。たとえば木は雨や紫外線で次第にグレーに変色していきますが、それが味になることもある。僕たちは保護塗料に白い顔料を混ぜて最初から少しグレーがかった白にしています。こうすると自然にエイジングしていくから、ある日突然汚れてしまった、ということは避けられる」(隈研吾)
台湾の山中に計画された寺院〈TAO〉の模型。細い部材で優美な曲線を作る。
隈は、展覧会のカタログで「木は自分自身の枯れた死体を抱え込むことで、固く、強くなっていく」「石もしっかりと生きている」と書いている。社会が変化し、人が老いていくのと同じように建築も使われていくうちに年を重ね、成熟していく。10の素材に対する隈の考え方から、これからの建築のあり方が見えてくる。
折りたたむとコンパクトになる紙で空間を作り出す《青海波》。持ち運びが簡単、誰でも組み立てられるシンプルな仕組みでどこでも空間を作り出せる。
古新聞を水で溶かし、型に入れて乾かした〈ペーパーブリック〉。卵ケースにも使われる技術だ。凹凸部を積み上げて空間を作れる。
折りたたむとコンパクトになる紙で空間を作り出す《青海波》。持ち運びが簡単、誰でも組み立てられるシンプルな仕組みでどこでも空間を作り出せる。
古新聞を水で溶かし、型に入れて乾かした〈ペーパーブリック〉。卵ケースにも使われる技術だ。凹凸部を積み上げて空間を作れる。
〈LVMH大阪〉の壁面。光が透過するほど薄くスライスされたオニキスという石が2枚のガラスに挟まれている。
北京の天安門の南側の地区「前門」で古い建物を再生させた〈北京 前門〉の模型。ファサードの格子はアルミのスクリーン。透明なレンガをイメージした。隈の北京事務所もここに入っている。
右の《ポリゴニウム》はピンを打ち込むだけで連結でき、正三角形のユニットになるアルミ板。左はバックミンスター・フラーが提案した「テンセグリティ」という構造を応用した《Le Nuage d’Alminium》。パイプとケーブルを組み合わせた構造物。
〈LVMH大阪〉の壁面。光が透過するほど薄くスライスされたオニキスという石が2枚のガラスに挟まれている。
北京の天安門の南側の地区「前門」で古い建物を再生させた〈北京 前門〉の模型。ファサードの格子はアルミのスクリーン。透明なレンガをイメージした。隈の北京事務所もここに入っている。
右の《ポリゴニウム》はピンを打ち込むだけで連結でき、正三角形のユニットになるアルミ板。左はバックミンスター・フラーが提案した「テンセグリティ」という構造を応用した《Le Nuage d’Alminium》。パイプとケーブルを組み合わせた構造物。
《Water Branch House》で使ったプラスチック・タンク《Water Block》。水を入れて重石にするポリタンクからヒントを得た。中に水を入れて重さを調節でき、積み重ねると家具や家になる。災害時には水の貯蔵タンクにもなる。このエリアのみ、観客が作品を触ることができる。好きな形にして遊んでみよう。
《カサ・アンブレラ》。15個の傘をジッパーで組み合わせた。災害時に一人が一つずつ持って避難すればシェルターになる。

《Water Branch House》で使ったプラスチック・タンク《Water Block》。水を入れて重石にするポリタンクからヒントを得た。中に水を入れて重さを調節でき、積み重ねると家具や家になる。災害時には水の貯蔵タンクにもなる。このエリアのみ、観客が作品を触ることができる。好きな形にして遊んでみよう。
《カサ・アンブレラ》。15個の傘をジッパーで組み合わせた。災害時に一人が一つずつ持って避難すればシェルターになる。

くまのもの 隈研吾とささやく物質、かたる物質

〈東京ステーションギャラリー〉

東京都千代田区丸の内1-9−1
~5月6日。10時~18時(金曜は20時まで)。月曜休(4月30日は開館)。TEL03 3212 2485。1100円。
※3月18日までの「東京駅周辺美術館学生無料ウィーク」の期間中、受付で学生証を提示すると入館料が無料になる。

隈研吾

1954年生まれ。東京大学建築学科大学院修了。1964年に丹下健三の〈代々木屋内競技場〉に衝撃を受け、建築家を志す。〈銀山温泉 藤屋〉〈浅草文化観光センター〉〈マルセイユ現代美術センター〉など20を超す国で公共建築、住宅、商業施設など幅広く手がける。現在、〈品川新駅〉(仮称)、設計に参画した〈新国立競技場〉などが進行中。