構想から60年。故・二川幸夫最後の写真集が完成。 | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

構想から60年。故・二川幸夫最後の写真集が完成。

日本を、いや世界を代表する建築写真家・二川幸夫。優れた出版人でもあった彼の最新写真集が刊行。御所と離宮の庭園、そして建築のみにフィーチャーした一冊には長年探求した、現代へと続く日本建築の精神が詰まっている。

上中下3つの離宮から成る〈修学院離宮〉。その上離宮にある浴龍池の西浜では、美しい桜が咲きこぼれる。
二川との共著もある建築家の隈研吾は、本書に寄せたエッセイの中で、次のように書いている。

「あがってきた写真を見て、二川が撮りたかったのは、結局のところ、庭というひとつの存在、ひとつの形式なのだろうということに気がついた。(中略)彼はただ庭というものに固有の空気感を、カメラという道具を使って、固定したかったのである。二川はいつも建築の上位にいたし、もちろん建築家の上位にいたことを思い出した。彼は建築という小さなものの、その先にあるものだけを見ていた」

稀代の写真家がレンズを通して見ていた建築の先にあるもの。その答えは、本書の中にある!?
〈修学院離宮〉の寿月観は、後水尾上皇の居室として建てられた数寄屋風。現在の建物は文政7年(1824)の再建。
上離宮の高台に立つ隣雲亭は、眼下に浴龍池を、遠くに洛北の山並みを望む、〈修学院離宮〉でも随一の絶景スポット。二方を開け放ち、深い軒や建具によって外界を切り取ることでこれまでにない空間性を映し出している。

『天上の庭』

総280ページ。24,000円。サイズ:257mm×364mm。発行:エーディーエー・エディタ・トーキョー。企画・撮影:二川幸夫。文:隈研吾。公式サイト

二川幸夫

1932年大阪市生まれ。早稲田大学文学部で美術史を専攻、1956年卒業。『日本の民家』全10巻を刊行し、1959年、同書にて毎日出版文化賞受賞。1970年、建築専門の書籍の編集、出版を専門とするエーディーエー・エディタ・トーキョーを設立。1975年アメリカ建築家協会(AIA)賞、1984年芸術選奨文部大臣賞、1985年国際建築家連合(UIA)賞など受賞多数。 photo_GA photographers

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