速報:2017年プリツカー賞は〈RCR アーキテクツ〉のラファエル・アランダ、 カルメ・ピジェム、ラモン・ヴィラルタ。史上初の3名同時受賞!
建築界のノーベル賞とも言われるプリツカー建築賞。今年はスペインの〈RCR アーキテクツ〉のラファエル・アランダ、 カルメ・ピジェム、ラモン・ヴィラルタに決まりました。日本一速い詳報をお届けします!
彼らの活躍の場は地元スペインだけではない。フランスのロデズにある〈スーラージュ美術館〉では、なだらかな丘から鉄のキューブが飛び出している。黒の太いラインで画面を構成する抽象画家、ピエール・スーラージュの絵画が屋外に展開しているようだ。「私たちは自然の一部だ」という彼らの思考が具現化したものでもある。
近年、グローバリゼーションが地域特有の歴史や文化を脅かしている、と危機感を覚える人も多い。しかし、〈RCR アーキテクツ〉の仕事はそれらを両立させられるかもしれないという希望を与えてくれる。どちらか一方、というのではなく、建築を通じて両方を得ることができる、そのことを詩的で美しい方法によって示してくれるのだ。〈RCR アーキテクツ〉の3人は建築と周辺環境との緊密な関係性を理解し、持続的な建築を建てるためにはどんな素材が最適かを熟考した上で妥協のない作品を生み出す。それは地域性と同時に普遍性のある建築だ。
昨年プリツカー賞を受賞したアレハンドロ・アラヴェナは未完成の建物を用意し、建設に住民を参加させるソーシャルな方法論が評価された。〈RCR アーキテクツ〉も現代のさまざまな問題に対して建築がどう応えるかを真摯に追求してきたことが受賞につながっている。建築の新しい可能性と役割を感じさせる審査結果となった。5月20日には東京・港区の迎賓館赤坂離宮で授賞式が行われる。彼らが日本で何を見て、どんな印象を得るかも楽しみだ。