マウントフジアーキテクツスタジオ:傘のような吊り屋根が大空間と大開口を実現。 | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

マウントフジアーキテクツスタジオ:傘のような吊り屋根が大空間と大開口を実現。

差し出した傘の下に、四方八方から人が集まってくる。そんな空間を支えているのは大黒柱と4本の梁。日本の民家がもつ知恵も生かした伸びやかな住宅です。

開口の外の庇とテラス。奥が狭く見えるのは、遠近法による錯覚ではなく実際の形。手前の軒は深さ3M、奥は張り出しがほぼゼロで、隣の公園の木々を見上げることができる。
屋根の力は大きい、と真宏。「日本の民家を民家たらしめているのは屋根。民家の屋根は真ん中が高いので、人の視線は上へ、内側へと集まります。場にいる人のまとまりを促す形だと思う」

以前から古民家に憧れていたという母も、「大黒柱の傍に寝そべって天井のいちばん高いところを見上げるのが好き」と笑う。そのやり方に倣ってみると、なるほど、いいようのない安心感と開放感。と同時に、天井の隅にある影にも目が吸い寄せられる。

「ロフトと屋根の間に影ができるよう、入り隅の部分をつくりました。昔の民家には“見えない何かがいそう”と想像をかきたてる暗がりがあって、それが美しさや情緒を生んでいた。従来の家づくりでは光ばかりが主題だったけれど、今は“影”をどう配分するかが重要な気がしています」(真宏)
家の三方を囲むロフト。コージーな空間もあるのがこの家の魅力だ。大黒柱は4面とも面積の異なるひし形。登り梁4本が集まってできた形状から成る。屋根の内部には登り梁の間をぐるっと周回する横梁があり、閉じようとする傘を止める突っ張りの役割を担う。
玄関のある東側外観。外壁はモルタル仕上げで方形屋根はガルバリウム鋼板。屋根の南側はキャンティレバー状の庇になっている。

KASA

●所在地/静岡県焼津市●家族構成/親世帯(父母)+子世帯(夫婦・子供2人)●構造/木造吊り屋根工法●規模/地上1階+ロフト●設計期間/2014年5月〜2015年2月●施工期間/2015年3月〜2016年4月●敷地面積/499.96㎡●建築面積/160.29㎡●延床面積/231.18㎡