“動く素材”で建築をつくる、三分一博志インタビュー。 | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

“動く素材”で建築をつくる、三分一博志インタビュー。

〈直島ホール〉で話題の建築家、三分一博志。瀬戸内を拠点に活動する彼の個展が東京で開かれています。“動く素材”を使って建築をつくる、彼の方法論に迫ります。

〈直島ホール〉 (香川県/2015 年) 。入母屋屋根の三角形の開口から風が抜ける。 ©三分一博志建築設計事務所
三分一がこう考えるようになった背景には、日本古来の知恵でつくられた建築がある。広島出身の彼は宮島を身近に見て育った。

「満ち引きする潮の中に建つ建築が1000年たっても大切にされている。“動く素材”にあわせた建築を見て育ったことが、私の建築に影響したと思います」
彼が設計する建築では“動く素材”を取り込むために、三分一はたっぷりと時間をかけてリサーチする。〈直島ホール〉では風向きと建物との関係を調べるため、回転する1/6スケールのモックアップ〈風と水のコックピット〉をつくり、向きを変えながら実験を繰り返した。また、屋根に井戸水を流して温度を下げる仕組みも取り入れている。

「水が気化することで空気より軽くなり、同時に熱を奪って温度を下げてくれます。こういった“動く素材”の循環を理解して、そのバランスの中で建築がどうあるべきかを考えなくては」
〈六甲枝垂れ〉(兵庫県/2010年) 。冬にはドーム状の構造体に樹氷が着くことも。 ©三分一博志建築設計事務所
六甲山に作った展望台〈六甲枝垂れ〉では周囲の樹氷のつき方をリサーチしている。

「水が気体から、液体の段階を飛ばして固体になる現象である樹氷には以前から興味を持っていました。また樹氷ができるかどうか、どんな形になるかには温度や湿度はもちろんのこと、樹種、枝の太さ、風向きや風の強さなどが複雑に絡み合っています。気温がマイナスでもできないことがあるし、さまざまな要素の関係性が大切です」

そこで敷地に原寸のモックアップを設置、枝のような構造体に着氷するかどうかを実験した。そこでうまくいく、との確信を得て建設に至っている。展望台を訪れる人は、六甲の街を見下ろしながら水の循環や変容を間近に感じることができるのだ。
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