黒川紀章のカプセル別荘が宿泊施設へ。その全貌を徹底解剖! | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

黒川紀章のカプセル別荘が宿泊施設へ。その全貌を徹底解剖!

長野で長らく眠っていた〈中銀カプセルタワービル〉の”兄弟”が目を覚ましました。黒川紀章がモデルハウスとして設計した〈カプセルハウスK〉が、今夏から宿泊施設として始動すべく準備中。ひと足先に、眠りから覚めたカプセル建築の姿を見てきました!

〈中銀カプセルタワービル〉のものとよく似た寝室カプセル。丸窓は出窓になっており、腰掛けることもできる。
テレビやカセットデッキがビルトインされている。
オーディオセットの隣は収納などになっている。テレビの脇は開閉式のデスク。
デスクを開いたところ。これで仕事もはかどるはず。
寝室カプセルのうちの一つは〈中銀カプセルタワービル〉のカプセルとほぼ同じといっていいデザイン。壁際にはソニー製のテレビやオーディオがビルトインされ、入り口付近にはバス・トイレのユニットがある。ただし窓はアクリル製で、ドーム状に張りだしたものだ。黒川は〈中銀カプセルタワービル〉でも同様のものを使いたいと考えていたが、東京・銀座という都心では火災予防の観点から許可が得られず、平面のガラスを使った丸窓になっている。もう一つの寝室カプセルは入り口と窓の位置が異なり、テレビ・オーディオユニットは入っていない。
〈カプセルハウスK〉、茶室カプセル。畳に網代天井、障子と由緒正しい茶室に宇宙船のような丸窓があいている。
茶室カプセル内部。竹格子窓の向こうが水屋になっている。
茶室カプセルは小堀遠州を参照したものだという。躙り口や水屋もある本格的なものだ。天井も網代など、和の意匠で構成されている。が、障子を開くと丸窓が現れ、宇宙船で茶会をしているような気分になる。
左上の玄関扉から三和土と木の螺旋階段が続く。黒川は当初、土足のまま地下の「遊技室」「アトリエ」まで降りていくことを想定していた。
コアの地下1階に降りる螺旋階段。木のナチュラルな表情を活かしたデザインを黒川はあまり気に入っていなかったという。
リビングから階段を降りるとコア内の地下1階に出る。ここには直径2メートルを超える大きな丸窓がある。「遊技室」「アトリエ」などとして、イーゼルを置いて絵を描いたりと、多目的に使用することを想定していた。1997年に改修した際、黒川自身の主寝室に変更された。
コアの地下1階の丸窓は直径2メートル以上もある。森の中に浮かんでいるような気分だ。上に見えるのは2つの寝室カプセル。
〈カプセルハウスK〉、〈中銀カプセルタワービル〉に共通するのは黒川紀章が唱えた「ホモ・モーベンス」と「カプセル建築」という思想だ。「ホモ・モーベンス」とは「移動する人間」の意味。1969年に黒川は『ホモ・モーベンス 都市の人間の未来』(中央公論社)という本を上梓し、土地や建物に縛られずに自由に動き回る人の姿を構想している。さらに工場で大量生産できるカプセルを使った「カプセル建築」でより自由な移動が可能になると説いた。状況に応じてカプセルを移動させることもできるからだ。こうして従来の家族とは異なる個人という単位による社会が可能になる、と彼は唱えた。
もう一つの寝室カプセルではユニットバスと丸窓が並んでいる。カプセルは当時、製造してくれるメーカーがなかなか見つからず、ヨットなど船舶の内装も手がける会社に依頼したという。
寝室カプセルのユニットバス。細い扉を開けるとバス・洗面台・トイレが一体化した空間がある。
ユニットバスの内部。円形の洗面ボウルや鏡、小物入れなど、細かいところまで統一感のあるデザインだ。
黒川が1970年の大阪万博で展示した〈空中テーマ館住宅カプセル〉は「カプセル建築」の思想を具現化した最初の例だ。お祭り広場で丹下健三が設計した大屋根に吊された〈空中テーマ館住宅カプセル〉ではまずリビングに入り、その周囲に取り付けられたそれぞれの家族のためのカプセルへと進む。〈カプセルハウスK〉とも似た構成だ。大阪万博では黒川は他にも〈タカラ・ビューティリオン〉をプロデュース、格子状の構造体にキッチンやバスルームなどのカプセルを組み込んだ”未来の建築”を提案している。
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