【展覧会リポート】人間味あるゲーリー建築ができるまで。 | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

【展覧会リポート】人間味あるゲーリー建築ができるまで。

日本では初めての本格的な展覧会『建築家 フランク・ゲーリー展 “I Have an Idea”』を開催中のフランク・ゲーリー。日本には作品が一つしかないため、実作がなかなか見られない。この展覧会はゲーリーの作品を紹介するだけでなく、大胆な造形がどこから生まれ、どうやって形になるのかを追うもの。ディレクターに建築家の田根剛を迎えて構成された展覧会をレポートします!

ゲーリーが生み出した空間の迫力に触れたあとは、ゲーリーの頭の中をのぞけるコーナーだ。建築になる前のもやもやした彼のアイデアや、それが生まれたもとになるようなものが並んでいる。いかにも建築の模型らしいもの、建築と彫刻の間にあるアイデアの原石のようなもの、プリツカー賞のお祝いに学生から贈られた、魚を手にするビルの姿になったゲーリーのオブジェなど、集まって星になる前の宇宙の塵のような断片がユニークだ。
プリツカー賞のお祝いに学生から贈られたオブジェ
壁には本や音楽など、建築以外のインスピレーション源が。川端康成やシェークスピア、ロバート・ラウシェンバーグ、フランスの現代音楽作曲家、ピエール・ブーレーズの本など幅広い。額に入れてびしっとディスプレイされたユニフォームは地元のアイスホッケーチームからのプレゼント。大巨匠だけれど週末にはセーリングやホッケー観戦を楽しむ、建築一辺倒ではない彼の姿を想像すると微笑ましい。
〈ゲーリー・ルーム〉より
ここで面白いのが、映像でゲーリーが自ら読みあげる「マニフェスト」。マニフェストというと勇ましいけれど、よく聞いているとちょっとぼやき調なのだ。いいアイデアが浮かんでもちょっと時間が経つとイヤになる、模型をどんどん作りたいけど倉庫代で破産しそう……、というツイッターのつぶやきみたいな内容だ。傑作を次から次へと建てているベテラン建築家でもこんな苦労をしているんだ、と思うと親しみがわいてくる。
壁にも掲げられている「マニフェスト」