【対談】皆川 明と中村好文が実現させた“小屋”の夢。 | ページ 3 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

【対談】皆川 明と中村好文が実現させた“小屋”の夢。

〈東京都現代美術館〉で開催中の『ミナ ペルホネン/皆川明 つづく』展。その関連イベントとして昨年12月、Casa BRUTUSの無料読者会員サービス「カーサ iD」の会員を対象に、皆川明と建築家・中村好文による、スペシャルセッションが行われました。2人のコラボレーションによって生まれた小屋=《shell house》誕生の過程をはじめ、クリエイターとしての2人の共通点、そして皆川が「中村の事務所の所員になりたかった」という発言も飛び出したトークの一部をお届けします。

《shell house》でアルテックのスツールに腰掛ける皆川 明。1階左手にキッチンが、渦巻きに沿ってさらに奥に進むとシャワールームやお手洗い、その先に2階へとつづく螺旋階段がある。
皆川のアイデアで設けた楕円の窓から外を覗く、中村好文。物理的には狭小だが実際に過ごしてみると“必要十分”と感じられるような、最小限のヒューマンスケールを追求した。
《shell house》でアルテックのスツールに腰掛ける皆川 明。1階左手にキッチンが、渦巻きに沿ってさらに奥に進むとシャワールームやお手洗い、その先に2階へとつづく螺旋階段がある。
皆川のアイデアで設けた楕円の窓から外を覗く、中村好文。物理的には狭小だが実際に過ごしてみると“必要十分”と感じられるような、最小限のヒューマンスケールを追求した。
・職人たちとの暗黙の了解。

皆川 見どころはたくさんあるんですが、「中村さん、本当にそこまでやるんですか?」というディティールが、各所にあります。しっかりとしたキッチンがあり、流しの下の収納の扉も、壁にあわせてR(曲面)になっている。二階のベッドルームには洋服をかけるフックまであったり、この屋根も、工務店さんが本当に綺麗に角のエッジを丸くしてくれている。展示物という目的を超えて、本当の宿のように作りこんでくれていることに感動するんですが、きっと職人がそうするということは、普段の中村さんとの長い付き合いが育んだ、暗黙の了解があるんですよね。「中村さんは、ここは丸くして欲しいんだろうな」という。

中村 2人で大阪の作業場に行った時に皆川さんから出たアイデアもたくさん盛り込まれています。フィボナッチを向かい合わせた形の楕円の窓もそうだし、2階のベッドルームも最初は板でふさがっていたんですが、皆川さんのアイデアで格子状にして2階の様子が見えるようにしたんですよ。上のベッドの横にある家具は、アアルトのですよね?

皆川 化粧台ですね。あれは、アルヴァ・アアルトの奥さんのアイノ・アアルトの作った古いものを置いています。他の家具も自宅からそのまま持ってきたものが多いですね。リビングのテーブルは《shell house》のために作ってもらったものですが、やはりフィボナッチ係数の組み合わせでできています。あとは、壁に飾っている陶版や木製の作品、銅板を使ったランプシェードは、この小屋に合わせてぼくが作ったものです。

中村 壁のレリーフはだまし絵というか、エッシャーのようですね。

皆川 壁に沿ってカーブした板に、立体的な絵を描いてみました。二次元の世界だけで成立する立体的な絵を、湾曲したキャンバスに描いてみるという試みです。これが、意外と面白かったんです。アトリエで作っている間は、スタッフたちから「なんで今ごろそれをやっているんですか…?」という空気も感じたんですが(笑)。こういうのも自分の表現として、今後やってみたいなと思いました。

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