山下めぐみのロンドン通信|石上純也が語る、サーペンタイン・パビリオン。 | ページ 2 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

山下めぐみのロンドン通信|石上純也が語る、サーペンタイン・パビリオン。

毎年、注目の建築家が手がけるロンドンの夏の風物詩、〈サーペンタインギャラリー〉建築パビリオン。今年設計を担当した建築家・石上純也に話を聞きました。

テントのようなテンション構造。細い柱が雨のように並ぶ。
── ますます構造についても知りたいです!

ほぼテンション構造になってまして、簡単に言えばテントのようなものです。梁に見える部分が少したわんでますが、これは屋根の重さでそうなっているのではなく、わざと少し歪ませることで張力を持たせている。メッシュの部分とともにコーナーのところに引っ張っているんです。なので、柱自体は水平荷重を受けず、細くても成立します。
中から見ても、周囲のランドスケープとの一体感がある。
蓮の葉の形をしたテーブルとスツール。
── パビリオンの内観は?

中では石の重さが感じられないような、外のと一体感を感じて欲しいと思います。床はコンクリートを打ってから磨きをかけたものですが、思ってたよりラフに仕上がってて、それが逆にいい感じかなと。日本だともっとキレイに仕上がってしまうので。またこの部分は池のようなイメージでもあり、そこに鳥が羽を休めるということで、蓮の葉の形のテーブルとスツールもデザインしました。
鳥が翼を広げているようにも見える。
── 全体的には思い描いたものが表現できましたか?

ランドスケープの一部となる石の丘のようなものを表現したかったわけですが、人は自然の風景を見ていろいろ想像を膨らませると思うんです。雲の形から動物を想像したりとか。このパビリオンもそうあって欲しいと思っています。背後にあるサーペンタイン本館の屋根もスレート材なので、それが山のように見えたりとか。または、パビリオンが黒い鳥が翼を広げているようにも見えるかもしれず、そうなると屋根のスレートは羽毛に見えてきます。ロンドンの雨空を飛ぶ黒い鳥ということで、中の細い柱は雨にも見えてくるかもしれません。

── 毎年、会期後には買い取られてどこかに移築されます。

まだ移築先は決まっていませんが、そのこともあって世界のどこに移築されてもランドスケープの一部になるようなものをと考えました。地域性があり、かつ世界共通なものとして、古い建築に出発点を求めたわけです。自由に想像力を膨らませて楽しんでいただけたら、と思います。

〈Serpentine Gallery〉

Kensington Gardens London W2 3XA。TEL 44(20) 7402 6075。〜10月6日。10時〜18時。月曜休。入場無料。

山下めぐみ

やましためぐみ  ロンドンに暮らしてはや25年。イギリスをはじめ、世界各地の建築やデザイン、都市開発の記事を寄稿中。建築を巡るタビを企画提案するArchitabi主宰。マッキントッシュ建築ツアーなど、ご要望受付中。https://www.architabi.com

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