この森は、未完の完成形。クルマは小型ミニバンの完成形。

「夜のお菓子」として有名なうなぎパイ。製造元の春華堂が昨年オープンした〈nicoe(ニコエ)〉という施設にこんな建造物がある。子供たちの遊び場として人気なので、クルマも家族団らんにおすすめの1台で。

ノーマルのトゥーランより地上高、車高ともに10cm高く、車幅は5mmだけ広い。

うなぎパイは1961年に浜松で生まれたが、今でも東京や大阪では売らない(百貨店の地方名産品コーナーで取り扱うことあり)、通信販売もしないという地域性を守り通している。だからこそ地元のファンへのサービスと、よりいっそうのプロモーションを兼ねて、このnicoe(ニコエ)なる場を作ったのだろう。その庭にこんな作品があって、子供たちの遊び場として開放されている。谷尻誠主宰のサポーズデザインオフィス作、〈くるりの森〉という名だ。森には「日々未完成でありながら完成しているとも言える概念が存在します」と作者の言。「ツリーハウスのように建築が足されていくことで人々は建築と呼ぶようになるでしょう」「いつが完成かも、どういう名前で呼ぶのかわからない」ともあった。初めて至近で見たとき、この白い管がにょろにょろ元気に動くうなぎに見えたのだが、言下に否定されてしまった。少し残念な思いがした。

取材当日、快晴で暖かい日差しの中、〈くるりの森〉で若いママたちが子供を遊ばせていた。ネットが張ってあり子供たちは何の遠慮もなくぴょんぴょんと跳ね回る。ジャングルジムとトランポリンが合体したようなものだから、それは楽しいだろう。まさに今回のクロストゥーランの顧客ターゲットそのものである。

2列目シートの真上までサンルーフが延びていて開放感たっぷり。全席ともシートの安全性能が高いのはヨーロッパ製ミニバンのメリットだ。

国産勢の独壇場だったミニバン界にヨーロッパから降り立ち、しっかり定着したゴルフ・トゥーランは、2003年デビューのロングセラーで揺るぎない完成形と言える。今回のクルマには「クロス」が付いているが、特に中身がクロカン用にできているわけでなく、サイドフェンダーなどのドレスアップと地上高を上げることでそれっぽい雰囲気を醸しているだけだ。

飽きの来ないデザインもこのクルマの長所のひとつ。

おそらく車高を上げたことでサスペンションを固めに設定したのだろうと思う。ご本家のVWゴルフは現在の7代目になってますますしなやか感を増し、高級ブランド並みの乗り心地を誇るに至ったが、それに比べてこちらはコリコリした感触が味わえる。個人的にはワインディングなどでちょっとヤンチャ気味に走るとなかなか楽しい反応を見せてくれることもあり、愛らしく感じるVW車なのだ。