存在感と周囲の環境への配慮。「公共」のためのデザインとは。

シンボリックでありながら、景観に調和するコンクリート建築。新潟県の公共施設が今年の村野藤吾賞を受賞したと聞いて、プラグイン・ハイブリッドのアウディA3で向かいました。

夜間照明がつくとこの建築の魅力がさらに深まる。自然に暖かく発光している感覚がいい。夜10時まで開館し、中高生がロビーで勉強する姿も見られるここは、まさに「開かれた公共施設」なのだ。

新潟をクルマで走っていると、果てしのない平坦さにいつも驚く。この建物も決して高くはないのに屋上から佐渡や弥彦山があっさり見えてしまうほど。そう、高さは控えめで威圧感が少ない建築だが、全周どこから見ても格好良く据わりもいい。周りはごく普通の住宅街だが、すぐ横には同じ新居千秋設計による中学校の新築体育館もあり、この地域のおおらかな気配とマッチしている。この会館を設計するにあたっては市民とのワークショップを重ね、町の里山を思わせる形にしたというが、景観への親和性については大成功だろう。

外壁の仕上げ、ロビーや階段回りの柱の造形など見るべきものは多いが、どんな細部であろうとも丁寧に手が入れられているのはこの建築家が手がけたすぐ近くの江南区文化会館に通じるところ。今回もまた、メインの音楽ホールの内観が非常に刺激的だ。薄いグレーの壁の中で灼熱の炉が煌々と燃え盛っているような感じなのだ。「日本にはジェネリックな建築が多すぎる。唯一無二であれ」と批判し続ける新居のセンスと熱量の炸裂である。

「ホールも楽器の一部」と話す新居がこだわった音響の良さが自慢。市民も利用可(予約制)。

三次元にねじれた強度のある柱の内部は市民が使える音楽練習室となっている。