MINI LIVING “Forests” 〈MINI〉が提案する「サードプレイス」とは?

ロンドンのデザイン・フェスティバル期間中に登場した3つのパビリオン。都会の暮らし方を探る《MINI LIVING》による実験的なプロジェクトだ。デザイン担当の建築家、アシフ・カーンと〈MINI〉のオカ・ハウザーに聞く。

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人通りの多い歩道にあり、さまざまなバックグラウンドの人が通過し、中のベンチに腰掛けて交流する場。

ロンドンで毎年9月半ばに開催されるデザイン・フェスティバル。数ある展示の中でも毎回ハイライトとなるのが、注目の建築家のデザインで仮設される「ランドマークプロジェクト」だ。今年は、カーブランドの〈MINI〉が手がける《MINI LIVING》と建築家、アシフ・カーンが組み、ショーディッチにつくり上げた3つのパビリオンが大いに話題を集めた。

「《MINI LIVING》はこれからの都会の暮らし方を探るシンクタンクです。小さな車体で広々とした車内空間を実現した〈MINI〉が、限られたスペースを最大限に活用した住まいの在り方などを提案しています。ミラノ・サローネではシェアリビングの展示をしましたが、住宅不足が問題化するロンドンでは、街の中に“シェアする場”を設け、コミュニティーを活性化する、自宅でも職場でもない“サードプレイス”を提案したいと考えました」。プロジェクトをリードした〈MINI〉のオカ・ハウザーは言う。それを受け、カーンは「コネクト」「リラックス」「クリエイト」をテーマに日本の“森林浴”にインスパイアされた空間をつくることを考えたという。

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その先の通りの角にあり、都会の喧騒をしばし忘れ、緑に囲まれてリラックスするための瞑想的スペース。

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静かな公園の中にあり、充電ポイントやネット環境も装備。家でも職場でもないサードプレイスで新しい創作が生まれるかも? 会期後、植物は地元の施設などに寄贈された。

「温室のように、フレームと屋根にはアルミニウム、壁はポリカーボネート板を3〜4層にして使って柔らかい光に満ちた空間をつくり、そこを植物で満たしました」とカーン。「庶民的な下町から、クリエイティブなスタートアップが集まるエリアへと急激なシフトが進むこの界隈。『コネクト』は1日1万人もが通過する“森の廊下”、バックグラウンドが異なる人々の交流の場にもなる多目的な空間です」。植物は人と街とをつなげるシンボルで、鉢植えが本の代わりとなった図書館のイメージだ。その先にある「リラックス」は、よじ登って中に入り、“森林浴”によって頭をクリアにする空間。「その後、充電設備やネット環境も整った『クリエイト』で何か新しい創作が生まれれば、というコンセプトです」とカーンは説明する。ハウザーが続けた。「空間のクリエイティブな活用法を探るのが《MINI LIVING》の目的。アシフがデザインした3つの空間によって人々がつながり、新しい何かが生まれるきっかけになればと思っています。フェスティバル期間の9日間だけの展示ですが、〈MINI〉が残した“轍”が街をいい方向に変えていくことを願っています」
Asif Khan(左)
アシフ・カーン 2007年、ロンドンに事務所を設立。今、最も注目される若手建築家。〈グッゲンハイム・ヘルシンキ〉のコンペで最終の6候補に残り、〈ロンドン博物館新館〉のコンペでは優勝を果たしたのも記憶に新しい。

Oke Hauser(右)
オカ・ハウザー 2015年より〈BMW〉のクリエイティブ・リード&プロジェクトマネジャーとして、《MINI LIVING》を引率。建築家らと組み、未来のアーバンリビングの在り方、スペースのクリエイティブな活用法を追求する。

The London Design Festival 2016

見本市からクリエイターのスタジオ公開まで、大小400ものイベントが開催される恒例のデザイン・フェスティバル。今年から各国の代表が展示を競う「デザイン・ビエンナーレ」も新設された。公式サイト

●問合せ/MINIカスタマー・インタラクション・センター TEL 0120 3298 14。公式サイト