安藤忠雄が手がけた、北海道出身作家の記念館へ。

内装をデニム張りにしたフェラーリ・カリフォルニアTに乗って、札幌は中島公園前、閑静な通りに面した安藤忠雄建築へ。地元出身、渡辺淳一の文学館で作家の知られざる生涯に触れる。

ファサードを鋭く斜めに貫く梁がこの建物を際立たせていて、カリフォルニアTの存在感と見事に拮抗。

館の内外ともにメンテナンスが行き届き、1998年開館というのが信じられないほど。安藤建築ならではの、打ち放しコンクリートの質感と魅力をじっくり味わえるはずだ。館内は大きなガラス壁によってたっぷり光が入り、壁面いっぱいに設置された書棚によって小ぶりな図書館のような印象を受ける。女性ファンの多い作家だっただけに、ここを訪れる人たちが渡辺淳一と一対一で向き合えるような親密さを巧みにつくっている。

安藤忠雄は「雪の中で片足を上げて立つ白鳥」をイメージして設計したという。

数多くの人気作の生原稿の展示に加え、映画化、ドラマ化された作品の女優たちとのにこやかなスナップ写真が所狭しと飾られているのを見ると、華やかなことが好きだった作家の人となりが伝わってくる。80年の生涯で141作品を書き上げ、総計8600万部もの販売部数を記録した渡辺は、スタイルが良く社交好き、ゴルフもなかなかの腕前だったという。12気筒FRのクラシックフェラーリなどいかにもお似合いだったはずだが、クルマは専ら国産を愛用、高級セダンから実用車まで自ら運転するのを好んだそうだ。

壁面全部が書棚、というのは大阪の司馬遼太郎記念館でも取り入れられた手法だ。