VEHICLE
最新チェロキーを走らせ、自然の豊かさ厳しさを知る。
July 17, 2014 | Vehicle, Architecture | Driven By Design | text: Hiroki Iijima photo: Tatsuya Mine
沖縄の世界遺産のひとつ今帰仁(なきじん)城跡や海洋博公園にも近い今帰仁村の歴史的建築、中央公民館を訪ねた。走らせたのは国内発売直前に沖縄でお披露目されたオールニューのジープ・チェロキー。
以前、名護市庁舎を訪ねたが、今回は同じ設計者による、さらに数年前の作品である。春まっただ中の沖縄はまだ湿気がほとんどなく、ただただ気持ちの良い空気に包まれていた。
この建築の特徴はたくさんの赤い柱と屋根に這わせた色鮮やかな花にあったはずだが、行ってみると屋根には木組みが残っているだけだった。聞けば、激しい台風に何度も襲われるうちに屋上の花も木も吹き飛ばされ、改めて新しいハイビスカスの木を植えてはみたが結局うまく育たないという。この木組みもやがては取り払われる予定だそうだ。
また、屋根裏に熱がこもらぬように各部屋の上部が開放され風が吹き抜けるよう工夫されていたものの、同じく台風による雨水の被害がひどく、壁と天井の間はすべて板でふさがれてしまっていた。この地特有の自然環境に適応すべく採ったアイデアが、それを上回る自然の猛威によって打ち砕かれたということだ。こんなにふわんと爽やかな日にそれを聞くと、かえって台風本番の過酷さが突き刺さってくるような気がする。
この建築の特徴はたくさんの赤い柱と屋根に這わせた色鮮やかな花にあったはずだが、行ってみると屋根には木組みが残っているだけだった。聞けば、激しい台風に何度も襲われるうちに屋上の花も木も吹き飛ばされ、改めて新しいハイビスカスの木を植えてはみたが結局うまく育たないという。この木組みもやがては取り払われる予定だそうだ。
また、屋根裏に熱がこもらぬように各部屋の上部が開放され風が吹き抜けるよう工夫されていたものの、同じく台風による雨水の被害がひどく、壁と天井の間はすべて板でふさがれてしまっていた。この地特有の自然環境に適応すべく採ったアイデアが、それを上回る自然の猛威によって打ち砕かれたということだ。こんなにふわんと爽やかな日にそれを聞くと、かえって台風本番の過酷さが突き刺さってくるような気がする。
とはいえ、そろそろ丸40年を迎える建築が公民館として今なお機能し、内外に知られる名建築として高評価されていることはやはり村の人々の誇りに違いない。小さな改変はあるにしてもまだまだ現役を続けてほしいものだ。
さてジープ・チェロキーの最新モデルだが、一見して驚くべき変容ぶりである。SUVの本場はもちろんアメリカだが、それゆえに彼らはSUVにはあまり多くのことを求めない。求めるのはただデカさと素朴さだ。一方で昨今のヨーロッパ製高級SUVが突っ走っているのは真逆の贅沢志向だ。
ジープは第二次世界大戦で大活躍したアメリカを象徴するブランドだからまさかとは思ったが、ここで一気にヨーロッパ的なクルマ作りに舵を切った。フィアットからのデザイン面での助力も内外装の各部に見られる。革シートの仕上げなど明らかに欧州的かつ高品質で、これだけでも室内空間の雰囲気は段違いだ。ほかにもナビをはじめ電装類も充実、変速機はドイツZF製の9速AT採用と、ヤル気漲(みなぎ)るモデルとなっている。
さてジープ・チェロキーの最新モデルだが、一見して驚くべき変容ぶりである。SUVの本場はもちろんアメリカだが、それゆえに彼らはSUVにはあまり多くのことを求めない。求めるのはただデカさと素朴さだ。一方で昨今のヨーロッパ製高級SUVが突っ走っているのは真逆の贅沢志向だ。
ジープは第二次世界大戦で大活躍したアメリカを象徴するブランドだからまさかとは思ったが、ここで一気にヨーロッパ的なクルマ作りに舵を切った。フィアットからのデザイン面での助力も内外装の各部に見られる。革シートの仕上げなど明らかに欧州的かつ高品質で、これだけでも室内空間の雰囲気は段違いだ。ほかにもナビをはじめ電装類も充実、変速機はドイツZF製の9速AT採用と、ヤル気漲(みなぎ)るモデルとなっている。
巡礼車:ジープ・チェロキー Trailhawk
エンジンは3.2リッターV6で加速時の回り方がスルスルーッと実に滑らか。これがジープのSUVか? と何度も思ったほど印象的。過剰な加速力はなくとも、巡航中の室内は静かで振動少なく、とて も快適だ。ほかにフィアット製の技術による2.4リッター4気筒エンジンもあり。4,298,400円(ジープ・フリーコール TEL 0120 712 812)。
巡礼地:今帰仁村立中央公民館
設計/象設計集団+アトリエ・モビル。1975年竣工。コの字形の頑丈なコンクリート製の大屋根の下に目的別に部屋が分散して置かれているような構造。二百数十本の赤い柱で屋根を支え、日陰に入れば風通し良く快適な環境が得られるよう工夫されていた。●
沖縄県国頭郡今帰仁村字仲宗根232番地 TEL 0980 56 2645。