建築知識など不要、誰でも心から面白がれる美術館。

500kmの道のりなどものともせず、ぜひとも行こうと背中をぐいぐい押される感じの美術館に、気仙沼まで。ジャガーの最新XEも、長距離こそ望むところだ的な一台。

気仙沼の町を一望できる気持ちの良い高台に建つ。例の「タワー」の中には空調の室外機を設置(すでに使用終了)。

石山修武設計の美術館として〈伊豆の長八美術館〉と並ぶ有名かつ人気作。何てったって屋上に立つ2つのハコである(ここの職員は「タワー」と呼んでいた)。山あいのケーブルカーのゴンドラのようであり、やけにか細い脚のせいでお盆のお供えのように見えてしょうがない。キュウリの馬、ナスの牛っていうアレです。

東日本大震災の写真展示が行われている。一般の展示室では、作者や作品紹介の文章に味わいがあって心に残るもの多かりし。

まず遠目からこのタワーで人心を呼び込み、実際に建物を前にすると屋根の一部がめくれ上がっていたり、入口のすぐ上の壁が大きくえぐれていたりで、どうしても中が気になってしまう。もちろん館内は建築的面白尽くし、期待は裏切られない。入口から真っすぐ延びる通路では大きな船の中にいるような感覚があって、左右に展示室やカフェなどが船室のように並ぶ。天井、窓、階段、スカイライトなどなど凝った意匠に次々と出会い、巡っているだけで気分もアガるという美術館だ。

この屋根の図面を見た館の関係者や職人さんはどんな顔をしたのだろう?