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会津の奥座敷・登録有形文化財の宿〈向瀧〉へ|行くぜ、東北。
January 18, 2016 | Travel, Architecture | sponsored | photo_Tetsuya Ito text_Kei Sasaki editor_Akio Mitomi
江戸時代、会津藩士の指定保養所だった「きつね湯」に起源を持ち、1873年に創業した〈向瀧〉。明治、大正、昭和と少しずつ増築、改修を重ねながら歴史を重ねてきた純和風建築は、1996年に誕生した国の文化財登録制度において、旅館として初の登録有形文化財建造物に登録されたことでも知られています。
会津東山温泉郷は群馬県草津温泉や静岡県吉奈温泉、石川県山中温泉とともに天平年間(740年代)の僧・行基によって発見されたと伝えられる歴史ある温泉地。「天寧寺の湯」と呼ばれていた藩政時代には〈向瀧〉の前身「きつね湯」が、会津藩士の指定保養所として営業を始めていた。
1873年、民営に移されたのを機に〈向瀧〉創業者の平田トネが経営を手掛けることに。自然湧出の自家源泉大浴場に、今も「きつね湯」の名が残されている。
1873年、民営に移されたのを機に〈向瀧〉創業者の平田トネが経営を手掛けることに。自然湧出の自家源泉大浴場に、今も「きつね湯」の名が残されている。
傾斜地に階段状に建てられた数寄屋造建築は、三千坪の回遊式日本庭園に面している。竣工期は明治、昭和、大正とさまざまだが、現在の建物の原型が形づくられたのは、1913年ごろ。専用の浴室と茶室を備えた書院造の離れもこの頃につくられ、数々の要人や著名人を迎え入れてきた。45年ごろには、ほぼ今日の形に。
赤瓦が葺かれた千鳥破風の屋根を持つ玄関が象徴的な入母屋造りの建物で、懸魚の彫刻も華やか。会津桐の柾目一枚板を使った大広間の格天井など、寺院を思わせる格調高い造りに特徴がある。
赤瓦が葺かれた千鳥破風の屋根を持つ玄関が象徴的な入母屋造りの建物で、懸魚の彫刻も華やか。会津桐の柾目一枚板を使った大広間の格天井など、寺院を思わせる格調高い造りに特徴がある。
全24室の客室は、すべて意匠が異なる。〈竹の間〉には桐の一枚板を使った竹の彫刻があり、〈水仙の間〉の書院欄間には水仙と蝶の彫り込みが。〈桔梗の間〉の柱には、桔梗をかたどった節袴(ふしばかま=節を隠す装飾)が埋め込まれている。美しい図柄が描かれた組木の障子や見事な絵が描かれた襖や板戸などの建具には、美術的な価値もある。
そのほか、大浴場にかかる大理石の彫刻や、野口英世や伊藤博文をはじめとする〈向瀧〉を愛した名だたる著名人が書き残した書もさりげなく客室に飾られている。部屋が変われば中庭の景色も変わり、さらにそれは季節ごとにも移りゆく。部屋を変え、季節を変えて訪れる常連客が数多いというのも納得だ。
そのほか、大浴場にかかる大理石の彫刻や、野口英世や伊藤博文をはじめとする〈向瀧〉を愛した名だたる著名人が書き残した書もさりげなく客室に飾られている。部屋が変われば中庭の景色も変わり、さらにそれは季節ごとにも移りゆく。部屋を変え、季節を変えて訪れる常連客が数多いというのも納得だ。
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