なくならないで、私のオークラ! MY MOMENT AT OKURA

世界中から続々エールが。

「東京で滞在するならオークラ」と、建築からファッション界まで幅広い支持を集めるホテルオークラ東京。愛してやまない人々が、その思いを綴ってくれました。

“将来後悔しないように今、行動を起こしましょう”

from: トーマス・マイヤー

〈ホテルオークラ東京〉には、来るたびに目を見張る思いがします。私は1980年代半ばに初めて日本に来たとき、たまたまこのホテルに泊まりました。そしてロビーに入った途端、恋に落ちてしまいました。世界で最も美しい空間が持つマジックにかかってしまったのです。私は建築がその都市の顔をつくると考えています。ホテルオークラは私たち外国人にとって「東京の顔」といえる建築です。もし、ここがなくなってしまったら私たちは東京にまで旅をする理由がなくなる。その都市で見るべきものがなくなってしまうからです。私たちはこの危機に対してすぐに行動しなくてはならないと思います。失われたあとで嘆くことのないように。

from:
トーマス・マイヤー

ドイツ出身。数々のブランドでのデザイナーを経て、2001年に〈ボッテガ・ヴェネタ〉のクリエイティブ・ディレクターに就任。ファッション以外にも建築やアートに造詣が深く、好きな建築家はルイス・カーン、リチャード・ノイトラ、ピーター・ズントーほか数知れず。

“ロビーに入った瞬間から感じる60’sのデザイン”

from: ポール・スミス

オークラは、ロビーに入った瞬間から1960年代のデザインを感じられる素晴らしい場所です。バルコニー付きの客室に泊っていましたが、徐々にモダン化されていくホテルを興味深く見ています。世界中のどのホテルも部屋は素敵ですが、テレビが大きくなったり、パソコン用のプラグの数が多くなったりして、部屋が小さくなったように感じます。そうした理由から、ホテルも建て直しを強いられるのでしょう。ロンドンは古い建物を残すことに成功していますが、それを美しいと感じる人もいれば、好まない人もいます。しかし、クリエイティブな仕事をしている人たちが宿泊したいと思うのは、オークラなのではないでしょうか。

from:
ポール・スミス

ファッションデザイナー。1970年〈ポール・スミス リミテッド〉を設立。2000年にはデザインの勲功により「サー」の称号を授与される。ファッションのみならずデザイン全般に広い見識を持つ。

“かけがいのない象徴として保存されるべき”

from: ローマン&ウィリアムズ

半世紀にわたり、ほぼ手つかずで保たれているオークラは、私たちにとって1960年代の日本へのタイムスリップそのもの。ここには、日本のもてなしの心と、洗練された国際的デザイン感覚との完璧な調和があります。極上の安らぎをもたらす、シンメトリーな内装や建築。泊まるたびに見入ってしまう「オークラ・ランターン」。〈オーキッドルーム〉でボトルキープした《響》を味わいながら、敬愛してやまないミッドセンチュリーの時代へと旅するひとときは、至福そのもの。20世紀デザインと豪奢さとが融合するオークラは、グローバルな美的体験およびデザインの、かけがえのない象徴として保存されるべきだと思います。

from:
ローマン&ウィリアムズ

LA出身スティーブン・アレッシュ(左)とNY出身ロビン・スタンデファーからなるインテリアデザイナー・デュオ。NYエースホテルの内装をはじめ、住宅や店舗、映画美術など幅広い分野で活躍。

photo: GION

“今もなおアバンギャルドなデザイン”

from: 黒木理也

5、6歳のころに初めてオークラに行きました。ロビーにいる自分をとても小さく感じたのを覚えています。オークラのサイズ感と美しさに圧倒されたのでしょう。オークラの風情や、静かな雰囲気が好きなので、改築されると聞いたときは少し残念な気がしましたが、きっとよりスタイリッシュになるんだろうなと思います。オークラも、オープン当初は他のホテルに比べてかなりアバンギャルドなものだったに違いありません。今もなお斬新に見えます。壁紙の厚みから、ほんのり暗くて暖かみのある照明、回廊のスケール感などが醸し出す空気感は形容し難いものです。改築後も、特別な存在になるに違いないと思います。

from:
黒木理也

〈メゾン キツネ〉クリエイティブディレクター。1975年東京生まれ。12歳のときパリに移り住む。99年、建築の国家資格を取得。2002年、ジルダ・ロアエックとともに〈メゾン キツネ〉を設立。

photo: Alice Moitié Horiz

“モダニズムの秀作。未来に残すべき文化財では?”

from: マーガレット・ハウエル

モダニズム好きの私にとってオークラは本当に気持ちよく滞在できるホテル。80年代から年に2回ずつ、いつもここに泊まってきたので、建て替えとはショックです。いつも変わらずホッとできる独特の雰囲気は、建設当初のデザインを流行に左右されず大切に保持し、年月をかけて慈しんできたからこそ。窓が開けられない客室が多い昨今、ここでは窓を開け、東京にいることが肌で感じられます。オリンピックなんて短期間のイベントのためにそれを壊してしまうなんて残念でたまりません。幸い別館はそのまま営業とのことですが、この日本のモダニズムの秀作は未来に残すべき文化財。そのことをもっと認識してほしいものです。

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from:
マーガレット・ハウエル

ファッションデザイナー。1970年よりメンズ、ウィメンズ服を発表。83年に青山店をオープン以来、定期的に訪日する。手工芸的要素を尊重し、雑貨や家具を含むライフスタイルを発信する。

“自分の美的感覚に合う、居心地のよい場所。”

from: トム・ブラウン

最初にオークラを訪れたのは、5年ほど前です。ファサードはじめ本館ロビー、〈オーキッドバー〉などのデザイン、ホテルで提供されるサービスが、自分の美的感覚に合い、居心地良く感じました。すべてがとてもシンプルで洗練されています。2013年東京にショップをオープンした際、〈オーキッドルーム〉でディナーを催しました。オークラに滞在する際はいつもここで朝食をとるのですが、インテリアや照明などすべてが気に入っているので、この場所をぜひ皆さんにも体験していただきたいと思ったからです。本館が取り壊されるのは非常に残念です。20世紀半ばに壊されたニューヨークのペンシルベニア駅を思い出しますね。

from:
トム・ブラウン

ファッションデザイナー。2001年、カスタムメイドの服を作り始め、04年メンズRTWコレクションを開始。13年に、アメリカ・ニューヨークに次ぐショップを東京に開いた。

photo: Todd Jordan

“モダニズムの「聖なる殿堂」だ。”

from: ショーン・マクファーソン

初めて泊まったのは10年前。とにかく惚れ込んだね。地球上で最も美しい宝石の一つと呼んで過言じゃない。魅力は2点に集約される。まず、見る見る失われつつあるモダニズムが、ここでは完璧に保たれていること。もう一つ、すべてがキメ細かく行き渡る国ニッポンにおいても、オークラの美意識の精緻さは、ひときわズバ抜けていること。いわば完璧に調律が施された楽器のようだ。ル・コルビュジエは居住空間を「マシン・フォー・リビング」と称したが、まさに「究極なまでに精巧なモダン・マシン」を僕は体験できた。オークラは「日本モダニズムの好例」ではない。モダニズムそのものの聖なる殿堂なんだよ。

from:
ショーン・マクファーソン

ホテリエ。バワリー・ホテル、マリタイム・ホテル、ラドロウ・ホテルなど、街の文化を塗り替える空間を次々と送り出してきた。デザインも自らが手がけている。カリフォルニア出身、NY在住。

photo: Naho Kubota

“オークラ本館が取り壊されるのは悲劇。”

from: スティーブン・ホール

1989年に初めてオークラに滞在しましたが、モダニズム建築の形を取りながら、日本的要素を随所に取り入れている空間に大変感銘を受けました。外の庭を望む低い窓、障子越しのほのかな光、漆のテーブル、低い椅子……。オークラのディテールは時を経ても美しさを保っています。20世紀の歓びと楽観主義的側面を反映しながらも、そこに浮ついた軽さはありません。オークラの本館が取り壊されるのは悲劇です。素晴らしい音楽のように、優れた建築はあらゆる世代に訴えかけます。他の方法を模索して、子供たちに受け継ぐべきです。建築は他の芸術と同様に、特別な価値をもつものです。次世代に伝えるべき宝物なのですよ。

from:
スティーブン・ホール

建築家。1947年アメリカ生まれ。76年NYに〈スティーブン・ホール・アーキテクツ〉を設立。日本では福岡ネクサスワールドで住宅棟を手がける。2014年度高松宮殿下記念世界文化賞受賞。