FASHION
ナチョ・カルボネルが手がける、冬のエルメスのウィンドウ。
December 24, 2014 | Fashion | a wall newspaper | photo_Tetsuya Ito (window), Pierre Bouchilloux / Mouroua. (process) text_Kaoru Tashiro
注目のクリエイターが2014年エルメスのテーマ、「メタモルフォーズ─変身」を形にしたら…。
銀座メゾンエルメスの冬のウィンドウが街を足早に行き来する人々の目と足を止めています。一見、白に凍結したかの世界。ところが中では見たこともない不思議な生き物たちが膨らんだりしぼんだり……。銀座の中心にぽっかりと開いた異次元への入口? 作者はアートとデザインの境界線上で活躍するナチョ・カルボネル。明け方に完成させたばかり、というウィンドウを遠巻きに観察するナチョにカーサが聞いてみました。
Q お疲れさまでした! ウィンドウの仕上がりはいかがですか?
とても満足しているよ。老若男女を問わず「あれ?」というふうに立ち止まっていて、それが嬉しいね。今僕たちは、ダイレクトでわかりやすいものに取り囲まれて生きている。だからあえて、え? なに? と引っかかるもの、アナライズして理解するきっかけ、その時間とプロセスをウィンドウに持ち込みたかったんだ。
Q コンセプトはメタモルフォーズだと伺いました。
そう、この意識の引っかかり、分析、理解、という移行プロセスこそ、メタモルフォーズなんです。さなぎが蝶に羽化する、卵の殻を割って何かが誕生する、その過程のイメージ。タイトルは「Hatch up!」と、たった今決めたばかりです。(笑)
Q 確かに床に割れた卵の殻のようなものがありますね。
これは、わざわざ石膏プレートから制作して割って作ったんだ。素材はエルメスのノウハウとサポートのもと独自に研究してきたもので、特に膨らんではしぼむ生き物のスキンに使用した新しいマテリアルは、何度も彼らとテクスチャーの試作を繰り返しました。シリコンの芯にはシルクを、表面はあえて麻で型取りをしています。
Q 見えない場所にあえて、シルク、表面に麻のテクスチャー……。細部にまでナチョ流のヒネリが利いていますね。
こうしたコントラストが意識の引っかかりになって「おや?」と人々を立ち止まらせるんだと思います。エルメスというラグジュアリーなメゾンを遠くに感じていた人も、身近に感じてくれたんじゃないかと思う。
Q こうした素材開発は今後も続けるのでしょうか?
もちろん、僕もマテリアルもメタモルフォーズする予定ですよ。
Q お疲れさまでした! ウィンドウの仕上がりはいかがですか?
とても満足しているよ。老若男女を問わず「あれ?」というふうに立ち止まっていて、それが嬉しいね。今僕たちは、ダイレクトでわかりやすいものに取り囲まれて生きている。だからあえて、え? なに? と引っかかるもの、アナライズして理解するきっかけ、その時間とプロセスをウィンドウに持ち込みたかったんだ。
Q コンセプトはメタモルフォーズだと伺いました。
そう、この意識の引っかかり、分析、理解、という移行プロセスこそ、メタモルフォーズなんです。さなぎが蝶に羽化する、卵の殻を割って何かが誕生する、その過程のイメージ。タイトルは「Hatch up!」と、たった今決めたばかりです。(笑)
Q 確かに床に割れた卵の殻のようなものがありますね。
これは、わざわざ石膏プレートから制作して割って作ったんだ。素材はエルメスのノウハウとサポートのもと独自に研究してきたもので、特に膨らんではしぼむ生き物のスキンに使用した新しいマテリアルは、何度も彼らとテクスチャーの試作を繰り返しました。シリコンの芯にはシルクを、表面はあえて麻で型取りをしています。
Q 見えない場所にあえて、シルク、表面に麻のテクスチャー……。細部にまでナチョ流のヒネリが利いていますね。
こうしたコントラストが意識の引っかかりになって「おや?」と人々を立ち止まらせるんだと思います。エルメスというラグジュアリーなメゾンを遠くに感じていた人も、身近に感じてくれたんじゃないかと思う。
Q こうした素材開発は今後も続けるのでしょうか?
もちろん、僕もマテリアルもメタモルフォーズする予定ですよ。
生き物たちのスキンに使用されたテクスチャーの試作の数々。
卵の殻を模した石膏のかけらも手作り。
【動画】アーティストインタビュー
Ginza Maison Hermès Window “Hatch up!”〈銀座メゾンエルメス〉
スキーウェアを飾るナチョのウィンドウは〜2015年1月13日。エントランスだけでなく、脇の小物ディスプレーも手がけた。東京都中央区銀座5-4-1 TEL 03 3569 3300。公式サイト