DESIGN
速報! Any Tokyo 2014
October 29, 2014 | Design | casabrutus.com | text_Hisashi Ikai
今年で2回目の開催となる「Any Tokyo」は、国の重要文化財でもある増上寺・光摂殿が舞台。600年の歴史を誇る由緒ある会場とは言わば対照的な、新時代の到来を感じさせるクリエイターたちの提案が集まっていた。
〈OZON〉
スマートフォンやタブレットなど、新しいデバイスを使用する機会はどんどん増えているが、その操作性をより直感的かつリアルに行うために開発されたのが、〈OZON〉(オズオン)だ。一見、おしゃれな指輪のように見えるが、実は世界中から高い技術力を持った開発者が集結し、 ソフトウェアを開発したという、極小のコンピューティングデバイス。チタン製のこの指輪をはめてジェスチャーしたり、指輪を親指でタップするだけで、さまざまな電子機器が制御可能となり、将来的には電子マネーによる決済や自動車のドアロックの制御なども可能になるとか。まるでSF映画に出てきそうな話だが、年末には予約を開始し、来年夏には販売予定という現実味溢れるプロダクトだ。東芝デザインセンター、リアル・フリート(現amadana)で経験を積んだ田子學がクリエイティブディレクターを務めている。
〈MATSUSO T〉
日本有数の家具産地の一つ、広島県の府中家具。江戸中期にはじまったというものづくりの長い歴史により、高い技術力を保持し、特に高級家具の製造を得意としてきたエリアだ。数年前から倉本仁とともに、新しい家具の開発に取り組んできた〈MATSUSO T(マツソウ T)〉が、国内初のお披露目を行っている。
倉本仁がデザインした《Nadia》は、木造船を彷彿させるような組み木が特徴のシリーズ。構造がそのまま、美しい造形と心地よさへとつながるバランスの良い家具に仕上がっている。
倉本仁がデザインした《Nadia》は、木造船を彷彿させるような組み木が特徴のシリーズ。構造がそのまま、美しい造形と心地よさへとつながるバランスの良い家具に仕上がっている。
一方、クラーソン・コイヴィスト・ルーネによる《Five》は、世界を形づくるとされる五大元素(地、水、火、風、空)や人間の五感など、「5」という数字が持つ完全さや調和を家具として現したもの。五角形と円を組み合わせた豊かな表情が特徴的。
〈Sebastian Herkner〉
1981年生まれと若手ながらも、素材の選択眼と調和のとれた造形美に定評のあるドイツ人デザイナー、セバスチャン・ヘルクナー。クラシコンやモローゾなど、大手のヨーロッパ家具ブランドとも恊働を行う彼の近作から、情感溢れるものを紹介している。
《Oda》は、無名の建造物を撮りつづけたドイツ人写真家のベルント&ヒラ・ベッヒャーの代表作「貯水塔」からヒントを得た照明。また、色ガラスに銀メッキを施し、鮮やかな光を放つ《Container》は、蓋を取り外し、皿として使うこともできる。ともにドイツのメーカー、〈Pulpo〉の製品だ。
フランスのメーカー、〈La Chance〉から発表している《Salute》は、円柱の大理石に銅製のトレイを組み合わせたローテーブルシリーズ。座面の低いソファの傍らに置き、飲み物を飲みながら読書を楽しむというくつろぎを提案している。彫刻的な造形が美しい。