土田貴宏の東京デザインジャーナル|深澤直人が引いた、工芸とデザインの“境界線”

デザイナーの深澤直人がディレクションし、〈金沢21世紀美術館〉で開催されている『工芸とデザインの境目』展。あえて1本の線を展示室に設定することで、工芸とデザインの関係を多方面からとらえている。

黒い線の左は工芸、右はデザイン。左には石垣と切り出したままの大理石が、右にはコンクリートの壁と人造大理石のオブジェがある。このオブジェは深澤直人の作品で、今年4月にミラノで発表されたもの。

『工芸とデザインの境目』展は、デザイナーの深澤直人の監修のもと、工芸とデザインの関係をあらためて見きわめようとする展覧会だ。そのための方法論として、深澤は2つの領域の境界に1本の“線”を引いた。この線は物理的なもので、すべての展示室の中央に実際に線があり、その左右に展示品が配置されている。線の左側は工芸、線の右側はデザイン、両端に寄るほどそれぞれの割合が高いということになる。

工芸とデザインの線上に置かれたアップルのノートパソコンを、深澤は「ひとりの職人が向き合った末の工芸品のよう」と解説する。左はエットレ・ソットサスによるタイプライター《ヴァレンタイン》、奥にはディーター・ラムスやバング&オルフセンのラジオが見える。

何をもって工芸か、何をもってデザインかを、客観的に判断することは難しい。深澤は、その判断の一例として、「これは、工芸20%、デザイン80%であるというのが説明しやすいかもしれません」と述べる。1つのものにも、工芸とデザインの要素が入り混じっているということだ。