CULTURE
帝国ホテル・ライト館も舞台に!? 杉本博司&千宗屋は、明治村でどんな茶会を開いたのか?
May 9, 2015 | Culture, Architecture, Art | a wall newspaper | photo_Junpei Kato text_Satoko Suzuki
開村50年を記念して、明治村の名建築を利用しての歴史ある茶会。そのコンセプトや様子をリポートします。
優れた建築を保存展示する野外博物館として1965年、愛知県犬山市に開村した博物館明治村。約100万㎡と広大な敷地に70軒近い貴重な建築が移築されている。その明治村では、保存されている建築を茶席に仕立て、毎年茶会を開催している。今年亭主を務めるのは、次代の茶の湯を牽引する千宗屋、現代美術家の杉本博司、金融の世界に身を置きながら当代随一の近代陶芸のコレクターと言われる赤井厚雄の三氏だ。
千が亭主を務める濃茶席は西園寺公望別邸〈坐漁荘〉。純和風建築の広間の床に掛かるのは、千利休の手紙を軸装したものだ。手紙の中で利休は織田信長について触れているが、その日付は1582年4月21日。あの本能寺の変の40日ほど前に書かれたものだ。文の内容、登場人物、季節は今回の茶会に縁があり、ぴったり合致する。「今回使わずしていつ使うのかというくらいの軸です。ほかにも伊勢や尾張の銘が入った茶碗や、ご当地もので利休が持っていた美濃の黄瀬戸の花入など、この空間を核につながったものを取り合わせました。また、手紙の中に〝新茶〟の話が出てきます。ですので、これからの新しい茶の湯という意味も込めて用いました」
千が亭主を務める濃茶席は西園寺公望別邸〈坐漁荘〉。純和風建築の広間の床に掛かるのは、千利休の手紙を軸装したものだ。手紙の中で利休は織田信長について触れているが、その日付は1582年4月21日。あの本能寺の変の40日ほど前に書かれたものだ。文の内容、登場人物、季節は今回の茶会に縁があり、ぴったり合致する。「今回使わずしていつ使うのかというくらいの軸です。ほかにも伊勢や尾張の銘が入った茶碗や、ご当地もので利休が持っていた美濃の黄瀬戸の花入など、この空間を核につながったものを取り合わせました。また、手紙の中に〝新茶〟の話が出てきます。ですので、これからの新しい茶の湯という意味も込めて用いました」
利休が所持していた黄瀬戸の花入には、熊谷草と菖蒲の葉を生けた。直線と曲線、そして新緑を思わせる緑も加わり凛とした美しさが生まれた。
杉本作品《光学硝子海景五輪塔》。今回の茶会で用いられた道具のなかで、これが唯一、現代のもの。
千宗屋
せんそうおく 1975年京都府生まれ。茶道三千家のひとつ、武者小路千家家元後嗣(次期家元)。日本美術史から茶道具、古美術、現代アートまで造詣が深い。今回の明治村茶会では濃茶席を担当、杉本、赤井両氏への呼びかけも千が行い全体を監修した。
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